9:名無しNIPPER[saga]
2018/05/04(金) 22:45:25.44 ID:AZDT1Nlu0
  
 夜中に窓から抜け出すなど不審以外の何物でもない。 
 当然ながら誰何は受けた筈だ。 
 首を傾げて水を向ければ、肇は薄く笑みを浮かべた。 
  
  「もちろん、言われましたよ」 
  
  「何て答えたんだ?」 
  
  「正直に。あなたとお花見して来ます、と」 
  
  
  「……それで?」 
  
  「『頑張ってにゃ』、と」 
  
  
 ……頭が痛くなってきた。 
 いや、誘い出した張本人が言うのもおかしな話ではあるけれども。 
 もう少しスマートにエスケープを決めるものだとばかり思っていた。 
 まさかの正面突破だった。 
  
  「なので、今夜は頑張ろうと思います」 
  
  「……無理に頑張らなくていい」 
  
  「そうですか?」 
  
 肇の笑顔を見て数年になる。 
 ここ最近の笑みは、明らかに隙がなくなってきていた。 
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