岡部「俺は鈴羽を――お前の事を救えたか……?」鈴羽「――」
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3: ◆mcn/WZ3k0ZKj[saga]
2018/06/28(木) 19:39:47.37 ID:5LgnJack0

2036年1月――季節はあの2009年の出来事から巡って、
丁度冬を回り始め、寒くなる頃合いだ。

――俺は今自宅の鍵を閉め、ある場所に向かっている。
何故そこに向かっているかというと、そこでとある知人と会う事になっているからだ。


「……。」


こうして何も考えずに歩いていると、あの2009年での出来事を思い出す――

電子レンジ(仮)から始まり、タイムマシン争奪の為SERNまで介入してくる事になった、
時間を越える俺の――俺達の戦い。あれから25年近くも経ったのだと思うと感慨深いものがある。

繰り返される時間の中で死んでしまうまゆりを救い、
本来、β世界線で死んでしまう筈だった紅莉栖も、
β世界線で紅莉栖を救えなかったという執念を得た俺の協力もあり。
紅莉栖を救った世界線――SG(シュタインズ・ゲート)世界線に到達する事には無事成功した――

当初の目的だったまゆりの死も回避し、
憧れの人だった紅莉栖も救えて、俺の大事なラボメン達が救われた世界。
何も思い残す事は無い筈なのに――ポッカリと穴が空いてしまったかの様に、
俺の心の中は今もなお、空虚な想いで満たされている。

……原因はわかっている。
あの世界線での彼女≠ェ救われていないからだ。


「ここは昔も今も変わらんな……。」


昔の事を思い出していると、時が過ぎるのを忘れてしまう。
俺はいつの間にかブラウン管工房の前まで辿り着いていたようだ。
ふと、ラボの方を見てみると明かりが点いている。どうやら先客がいるらしい。


「お、あいつらもう来てたのか……ってもうこんな時間か……。」


腕についている時計を見ると、待ち合わせ時刻から10分も過ぎてしまっていた。
むっ……物思いにふけっていた所為で、少し歩行速度が落ちてしまっていたのだろうか。


「あいつ怒ってるだろうな……。」


そう思いながら階段をあがると、話し声が聞こえてくる。
一人は若々しい女性の声で、もう一人は少し年のいった男性の声だった。


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