15: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/15(日) 22:02:43.39 ID:ema8T1+O0
「いらっしゃ――」
うどん屋の主人は、俺の背後に目を向けた途端に声をつまらせた。
が、無理矢理に「いませー」と言葉を繋げると、俺たちを二人がけの席へと案内する。プロだ。
注文を取りに来たおばちゃんは「コスプレ? コスプレ?」と楽しそうに訊いてくるので、「いやまぁそんなところかもしれないですねー」と適当に返しておいた。
おそらくおばちゃんは、アンチョビの着ているアンツィオ高校の制服のことを指しているのだろう。
確かにこれは、我々の世界では高校の制服と言うには苦しいところがある。
「服、買わなきゃいけないですね」
「ああ、そうだな。……て、そういえばわたし、お金も持ってないんだが」
「良いですよ、出しますよ。それなりに収入はありますし」
「すまん。落ち着いたら、わたしのできる限りのお礼をするからな」
「あんまりそういうこと言わない方が良いと思いますよ」
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