16: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/15(日) 22:04:39.19 ID:ema8T1+O0
うどんが届き、互いに箸へ手を付ける。
薬味をからめた透き通るような麺が美味だ。
「アンチョビさん、これからどうするんですか」
「帰る方法を探す。それしかないからな」
「具体的に、どうやって?」
「……うーん、すぐには思いつかないが、まぁ、何とかなるだろう」
ごにょごにょとアンチョビは語尾を弱める。
彼女もわかっているのだと思う。
身よりも何もない、金も持ち合わせていない彼女が、この世界でたった一人で生きていく術はない。
帰る方法を探す以前の問題だ。
今の彼女は、何もできない。彼女には助けが必要なのだ。
そして、彼女の事情を理解し、助けになれる人間など、俺をおいて他にない。
その事実は、俺にとって大層嬉しかった。
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