照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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194:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:41:13.08 ID:rr1Aanow0
「のどちゃん? 裏ドラ忘れてるじょ」

「いえ忘れてるわけでは、ただちょっと気分的にですね……」

「気分が悪いのか? なら代わりに私が」

「それは駄目です。大丈夫、自分で見ますから」

多少は気が引けたのかもしれないが、すぐに持ち直す。麻雀を教わった環境からかマナーには厳しい和らしい。あるいは優希にのせられたのかも……いや、それは考えすぎね。
自身の目の前に並ぶ、ドラ表示牌のある山に和が手を伸ばす。表を向いている[西]の牌を、その下の牌と共に持ち上げ手元に寄せる。西の牌を下ろし、下の牌を、裏返す。

「七筒……」

めくられた牌を見て、和が呟く。求めていた裏ドラは八筒。提示されたのは[七筒]。表示牌が出はない。裏ドラが、だ。あと一つ、上の数字だったならば……。

「2000、3900です」

最終点数・片岡優希:10100、原村和:44600、弘世菫:600、宮永照:44700。この対局に私たち清澄は、敗北した。







それから数秒の間、各々なにを考えていただろう。まこは手元の牌譜に何か書き込んでおり、ゆみは既にペンを置いていた。優希は卓の下を見るように俯き、和は自分の手を見つめている。この二人の考えていることは何となく察しはつくかもしれないが。弘世さんは殆ど首を動かさず周りを見渡している。おそらく他から見た私も似たようなものだと思う。わかるのはそれだけだ。

「……ありがとうございました」

和が沈黙を破る。それに弘世さんが続き、順々にハモる形で対局を終える挨拶を交わしていく。
卓を離れ、牌譜をまとめていた二人と白糸台の二人が牌譜についての話を始める。その集いから少し離れて、手荷物を抱えながら和が言う。

「すみません部長。力及ばず」

「ゴメンナサイだじょ」

「やめやめ、そういうの無しよ二人とも。相手は最強の高校生だし、優希も和もこれ以上無いってくらい私の言ったことに忠実に打ってくれたじゃない。それで負けたのに謝られたらむしろ私が恥ずかしいわ」

「そんなこと言ったって、打ったのは私たちだじょ。それに咲ちゃんのことも……」

「咲のことは気にしないで……ってのもまあ、無理な話か。わかった、じゃあちょっと待ってて」

「部長?」



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