照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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196:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:44:47.19 ID:rr1Aanow0
やけに静かだと思ったけど、ここで本丸だ。わかってる、いくら弘世さんを言いくるめても意味はない。弘世さん自身が今回の件については彼女の意向に従うと言っていたんだ。

「あなたの言うとおりに、屁理屈は言ってないつもりなんだけど」

「うん、そうかもね。でもそういう細かい話をするんなら、問題は道理に合うかじゃなくてどう解釈するかでしょ」

ふむ、なるほどなるほど。……何を言っているのか微塵もわからない。大人しく聞くとしよう。

「話が見えないわね」

「質問に質問で返すようだけど、話に必要なことだから許してね。竹井さんはインハイ団体の中堅戦を戦ってるとき、一人だった?」

「一人? 卓にってことなら四人だけど、そういうことじゃないわよね。一校から出られるのは一人なんだしそれはそうじゃない?」

「本当にそう? 今一度、思い返してみて。対局中やインターバルのとき、前の人の点を取り返そうとか、自分の後に控えてる人のためにも稼いでおきたいとか考えなかった?」

「……」

「インハイのための準備や対策は一人でやったの? チームメイトに限らなくてもいい。親とか、友達とか、今まで関わってきた他の誰かが脳裏に浮かんだりしなかった?」

ははぁ、そういうことね。彼女は精神的な話に持ち込もうというわけだ。『仲間との絆』とか『応援の力』とか、そんな適当なことを言って最後には『卓に入ってる人だけが戦いの場に立っているわけじゃない』とかいうつもりなんでしょう。そりゃあ団体戦だもの、前後のことは考えるし対戦校のデータ集めは私の力だけでは十分に適わなかった。応援がプラスに働くとは限らないけれど、私に影響を与えたというのは否めない。でも、こんなやり口に切り返すのは至って簡単だ。ボクシングやフェンシングが何人対何人の勝負かと訊ねられて、2以上の数字を持ち出す人は極めて少ない。彼女の言うようにこれがどう解釈するかの問題ならそこまで含めた上で、勝ってるのはあくまで一人だと言ってしまえばいい。私に意見を求めた以上、それで話はどん詰まりになる。

「もう一度聞くよ。竹井さんは、中堅戦を一人で戦ったの?」

「…………いいえ」



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