照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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197:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:45:58.74 ID:rr1Aanow0
無理だ。障壁があったとしたら、今回私はその2以上の数字を持ち出す側の人間だったってことみたいだ。待ちに待って、共に練習して。それなのに。口が裂けてもYESとは言いたくない。

「そう言ってくれて安心した。今回の対局、竹井さんのアドバイスが入ってたよね。片岡さんと原村さんが戻ったら同じ質問してみる?」

「結構よ。それであの二人が首を縦に振ったら私、三日三晩寝込んじゃいそうだし」

「ふぅん……。まあ聞かなくても答えは見えてるけど。じゃあ私たちはちゃんと、『竹井さんが参謀を務めた清澄に勝った。』ってことでいいよね。お開きにしよっか」

宮永照が雀卓の整理を始める。次いで弘世さんがそれを手伝う、帰り支度なんだろう。
完敗。外堀を埋めた後に、卓についていなくても入れ知恵という形で参加したことにされた。私が勝負に参加していたという解釈を、私に認めさせたわけだ。これで昨日と合わせて三連敗だ。照魔鏡で見られたからなのか、私一人ではどうも宮永照に敵わないらしい。

「……でも、今日のアドバイスは私一人のじゃなかったわよ」

二人の手が止まる。こちらを向いたのは弘世さんだけだが、もう一人も聞く姿勢ではあるようなので続ける。

「牌譜を取ったり、対局中の動きを禁じられたり。この部屋に私たちが来た時点でもうわかってたんじゃない? あの龍門渕と私たち清澄相手にあと一歩のところまで食らいついた敦賀の大将、加治木ゆみも今回、知恵を貸していた。じゃなきゃこの場にいるはずがないってね」

「だったら?」

「さっき弘世さんが言ってくれたわよね。『白糸台と清澄で麻雀勝負』、でもゆみは清澄じゃない。なのにゆみのいることに言及しなかったのは、やっぱりアドバイスなら参加にはならないってことにならない?」

弘世さんが口を開く。が、思いとどまったようで何も言わずに横を見る。目線の先の人物はなにかを思案中といった様子だが、あまり間は空かなかった。

「菫、片づけは一回中断しよう」

「本気か照……こんな勝負受けなくても」

「私が加治木さんも作戦に関わってると思ってたのは本当だしね。それに、どっちにしても負けを認めさせればいいんだし」

宮永照が、自分の場につく。

「やろうか、麻雀」

無言で、口角だけあげて返す。弘世さんはなにも言わない。



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