照「わたしに妹はいない」久「……そう」
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199:名無しNIPPER[sage saga]
2018/09/02(日) 18:48:37.63 ID:rr1Aanow0
少し声を張って宣言し、牌を上方に跳ね上げ……ないでおこう。他校の牌だし、それをやるとまあ今回はちょっと都合が良くない。大人しく牌を裏返す。北の字。手牌を晒して、裏ドラを確認する。
西と二筒が表を向く。

「リーヅモ七対、ドラ4。4000、8000!」 

これで宮永照との点差は24000。幸先がいい、もっとも大事なのはここからではあるので気は緩めない。すぐさま点棒の受け渡しを終え、牌を卓中央に流し込んだそのときだった、背筋に悪寒を覚えたのは。
時間がまるで止まったかのように、物の動きがスローに感じる。まこの背後の空間が歪む。ああ……見えた。これが照魔鏡。円形のなにかと、靄のようななにか。今出来るのは残念ながらその程度の認識で、瞬きをしたときそのなにかはもう消えていた。もしかしたらモモちゃんの形容を聞いていたから脳が勝手に作り出した映像なのかもしれない。それでも、確かに見えた気がした。

「……てる?」

弘世さんが、脈絡もなく声を漏らす。……と、思ったが意味はすぐにわかった。

「ぅ………あ…」

私は最初、その声を認識していなかった。宮永照がなにやら呻く。弘世さんは『照』と言ったんだ。たぶん私が目を凝らしている間に、弘世さんは耳を機能させていたんだろう。それを聞いていたからこそ、弘世さんの次の行動は私とまこより一瞬早いものだった。

「…さ……あ゛…、っ………き…」

「っ……! おい照!!」

椅子にもたれる宮永照が左に傾くにつれ、その制服に徐々に横方向のしわが入る。弘世さんが椅子を弾き飛ばすように立ち上がる。惜しむらくは彼女が宮永照の対面だったことだ。ずしゃり、と鈍い音を立てて、宮永照が椅子ごと崩れ落ちる。肩からだったように見える。あまりに唐突で、目で追うのが精いっぱいだった。いち早く駆け寄った弘世さん含め、この場の誰もそれを止めることは叶わなかった。

「なっ……」

「……んじゃあ……!?」

「照!おいどうした!……返事できるか!?」

思わず声が出てしまう。まさか、こんなことになるとは私には思いもよらなかった。いや……私にも、思いもよらなかったというべきかしら。



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