川島瑞樹「ミュージック・アワー」
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16: ◆u2ReYOnfZaUs[sage]
2018/08/01(水) 00:58:47.64 ID:Ai+XpKnp0
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レッスンに身体が慣れてきた頃、写真集が完成し、発売された。

ゲラ刷りの段階で瑞樹は目を通していたが、いざ実物が完成すると、なんとも言えない気持ちになった。

やってしまった、と。

写真集は売れた。飛ぶように売れた。
その利益だけでも、制作側はホクホク顏だという。

結婚だの旦那だのと言っていた連中も、手のひらを返して瑞樹を応援した。

だが2人だけ、そうでない者がいた。

「だからお父さん……あれは不可抗力で…」

両親。
写真集が発売されてから2日後に、電話がかかってきた。

なにを考えているんだ。
どうかしている。
嫁入り前にあんなことをするんじゃない。

怒鳴り声でずっとまくし立てられると、瑞樹のほうにも反発心が出てきた。

「私は、私の幸せを追いかけたいの!
 女としてでも、お父さんの、お母さんの娘でもなくて……!

 ねえ、わかって。わかってよ……」

瑞樹は甘えるような声を出したが、また怒声が飛ぶ。
瑞樹は電話を切った。そして番号を非通知にする。

1月08日の夜。大晦日も元旦も実家には帰っていなかった。
瑞樹は早苗に電話をかけようとした。だが、時間が時間で、LINEを送った。

飲みにいかない?

既読はすぐについた。

タダイマ収録オワリ。ヒトヒトサンマル、銀座駅C9ニテ。

瑞樹は思わず涙を落とした。




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