34: ◆Ez.kO8O2GM[saga]
2018/09/01(土) 17:28:51.74 ID:k26/OMQNO
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 「陽子、この手で…やったよ」 
  
 綾は、右手に拳銃を持ったまま言った。目の前には顔から血を噴いた男が倒れている。 
  
 ゆっくりと右手を下ろし、鞄から出したタオルで返り血を拭う。 
  
 「陽子…」 
  
 陽子は、あの時と同じ、表情のない顔をしていた。 
  
 「こんな人殺しが友達だなんて、陽子は嫌がるかしら」 
  
 陽子は、何も答えない。 
  
 「もう私には、何の希望も気力も残っていないわ」 
  
 陽子は、何処も見ていなかった。 
  
 「陽子が、一番の希望だったもの」 
  
 陽子は、全く動かなかった。 
  
  
 綾は、陽子を起き上がらせると、抱き着いた。 
  
 「陽子…」 
  
 静かに、陽子の体を温めるように抱き着きながら、綾は泣いた。 
  
 「あぁぁ…何で、何で…」 
  
 それでも陽子は、反応しない。 
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