まほ「まさか、みほと入れ替わってしまうとはな……」
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11:名無しNIPPER[saga]
2018/08/31(金) 19:15:34.11 ID:33mytLdE0
 瞬間、大洗学園艦が跳ねた。

 浮遊感と共に、その場にいる全員の足が地を離れる。彼女たちの平衡感覚が、地面が跳ねあがったのだと告げていた。さながら、シーソーの片側に何かが飛び乗った様に。

 もしもこの瞬間、全ての状況を俯瞰できる者がこの場にいたのなら、そのシーソーの力点が、まほの放ったジャケットであることを知っただろう。

 衝撃でどこかが破損したらしい。緊急警報と共に、船舶科の学生たちが交わす緊迫した無線通話が学校のスピーカーから漏れ聞こえていた。

『艦が急激に傾斜していきます! 10度……15……20……氷山でも浮かんできたっていうの!?』

『Gの1から8まで隔壁閉鎖! 注水しろ! ダメコン急げ!』

『避難が間に合いません! 該当ブロックには水産科の連中がいるんですよ!?』

『沈むよりましだぁ!』

 やがて跳ねあがりの数倍の時間を掛けて、艦が水平を取り戻す。

杏「はは、ははは」

 だが沈没の恐怖を免れた安堵はなく、目の前の怪物に角谷杏の心はかき乱されていた。

 学園艦を傾けるほどの重量。数百トン? 数千? 数万?

 そして何より、その重量を纏い、軽減するほどの戦車道力は――

 素手でV突を真っ二つに引きちぎりながら、まほは杏から向けられる視線に対し、こともなげに答えを返した。

まほ「ジャケットを着るのに必要な、最低限の戦車道力は20万。私は、5000を残して全て注ぎ込んでいたが」

まほ「そう、本来の私の戦車道力は――53万だ」

 左右の手にそれぞれ持った鉄の残骸を投げ捨てる。断面から、揃って狐につままれたような顔をしたカバさんチームが確認できた。

 秘めたる力を解放した為か、西住まほがその姿を取り戻していく。

 体型が戻り、染髪材は怪物に触れることなど御免蒙るとでもいうようにパラパラと剥がれ落ち、本来の髪色を見せた。

まほ「――選べ、角谷。この場で沈むか、みほの転校手続きに判を押すか、だ」


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