まほ「まさか、みほと入れ替わってしまうとはな……」
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9:名無しNIPPER[saga]
2018/08/31(金) 19:14:18.09 ID:33mytLdE0
杏「手荒でごめんねー、西住ちゃん――の、お姉さん」

まほ「……最初から、全て御見通しだったというわけか」

 不敵な笑みを浮かべる角谷杏をまほが睨む。

 だが、分からない。自分の変装は完璧だった筈。いや、そもそも一連の流れは自分が来る前から入念に準備されていたであろう計画だ。

 自分が大洗に到着する前からばれていた。それが意味するところは……

エリカ「――こんな格言を知っていますか? "理想的な戦争とは、開始前に勝利することだ"」

まほ「……エリカ」

 予想していた人物。校舎の奥から、確かに無力化した筈のエリカがゆっくりと進み出てくる。

 先回りし、角谷杏へ報告を――だが、解せない点がひとつ

まほ「驚いたな。あの状況から小梅を倒したというのか」

エリカ「その必要もありませんでしたよ――ねえ、小梅?」

まほ「何……?」

 エリカが道を譲る様に一歩ずれると、そこにはまほに下った筈の赤星小梅が佇んでいた。

 先ほどまで虚ろだったその目には、いまは確かな決意が宿っている。

エリカ「彼女は、隊長に抱き込まれていなかった。そのフリをしていただけ。考えてみれば、それが一番賢い方法でした」

 エリカと共に真正面から立ち向かったところで、西住まほを倒すことは不可能。

 ならば下った振りをしておいて、奇襲する――戦車道ではありえない、実戦染みた権謀術数。

まほ「ははは……これは一本取られたな」

みほ「お姉ちゃん……」

 トランクから救助されたみほが、複雑な表情をしながらまほを見つめる。

 続いて、校舎から武部沙織を筆頭に戦車道履修生の面々が飛び出してきた。

 どうやら先ほどの惨状を見た沙織が半狂乱で全員を呼び集めたらしい。彼女は計画を知らされていなかったようだ

梓「本当ですか、隊長が砲撃を受けたって……!」

沙織「うん、ほらあそこ……って、み、みぽりんが増えてる!? え、砲撃されたから?」

梓「凄い! ひとり持って帰っていいですよね?」

優花里「待って! もう一回砲撃して増やした方が! ダブル西住殿バーガー……いや、トリプルも夢じゃ!?」

 ぎゃーぎゃーと騒ぐ有象無象をよそに、角谷杏が口を開いた。

杏「もう争うつもりはないよ。西住ちゃんも取り戻したし、転校届は受理しない。ここらで退いてくれないかな?」

 争うつもりはない、か。まほは薄く笑った。V突から次弾を装填する音が聞こえる。退かなければ彼女は容赦なく砲撃を命じるだろう。

杏「確かにお姉さんの戦車道力は、高校生の中じゃ随一だけどさ。忘れてやしないよね?」

杏「本来、戦車道力は乗員の平均値に、戦車の値を足して算出するもんでしょ。生身じゃあ、戦車には勝てないよねえ」

 カバさんチームの戦車道力平均値は2500。さらにV号突撃砲の戦車道力は1万。生身のまほの倍以上の戦車道力を誇る計算だ。

 戦術で覆すことは、少々難しい数値。パンツァーファウストでもあれば話は別だが。

 絶体絶命の危機。その中で、まほは首を横に振った。

まほ「いいや、まだだ。みほは何としてでも黒森峰に連れ戻す」

みほ「お姉ちゃん! 私は、大洗にいたいの!」

まほ「可哀想に。そう言わされてるんだろう? 安心しろ、お姉ちゃんがいま助けてやるからな」



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