ヴァイス「少々席を外したいのですが」ターニャ「何故だ?」
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2018/11/23(金) 22:33:05.07 ID:i37PCr8J0
「ヴァイス中尉」
「少佐殿、如何しました? 小官はもう暑くて暑くて、一刻も早く服を脱ぎたいのですが」
「ああ、待て待て。まだ脱ぐな。この場には女性士官も居ることを忘れたのか? 」
「これは大変失礼しました。くれぐれも、下着は脱がないように気をつけます」
「相当に酔っているようだな。まあ、どのみち遅いか早いかの話だから問題あるまい」

和やかに宴会は続き、皆、泥酔し始めている。
おもむろに軍服を脱ぎだしたヴァイス中尉にデグレチャフ少佐は小言を言いかけて、やめた。
軽く口の端を吊り上げたデグレチャフ少佐の不敵な笑みを見て、ヴァイス中尉は我に返った。

「少佐殿……?」
「そろそろ頃合いだな。中尉、皆を黙らせろ」
「はっ。総員、傾注!」

突然の号令。騒ぎが瞬く間に静まる。
流石は帝国の誇る、エリート大隊。
どれだけ酔っていても、即座に対応出来る。
自らが育てあげた部下達の練度の高さに満足しつつ、デグレチャフ少佐は一同に通告した。

「諸君。宴もたけなわとなってきたが、まだまだ夜は長い。そこで特別な酒を用意した」

いつの間にかテーブル中央に置かれたグラス。
血のように赤いワインが注がれている。
デグレチャフ少佐の分はぶどうジュースだが。

「それぞれグラスを持ちたまえ。帝都より取り寄せた一級品だ。香りだけで違いがわかるだろう。戦友諸君へ私からのささやかな贈り物だ」

わっと、歓声が上がり、我先に手を伸ばす。
グラスの中で回すと芳醇な香りが立ち込めた。
皆一様に幸福そうな戦友達の顔を見渡したデグレチャフ少佐は、まるで天に捧げるかのごとく高らかに杯をかざすと、乾杯の音頭を取った。

「我ら二〇三大隊に栄光あれ。乾杯!」

割れんばかりの歓声が湧き上がる。
この瞬間、盛り上がりは最高潮に達した。
その本日2度目の乾杯が宴会の終わりを告げるものであることは、少佐以外知る由もなかった。


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