シンジ「すべてを受け入れようと思う」
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1:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:22:53.23 ID:VZdRWGZA0
ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズQからの分岐ルートSSです。

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2:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:25:00.39 ID:VZdRWGZA0
 その日、地球の遥か上空に位置する宇宙空間で、ある極秘の軍事作戦が行われようとしていた。ノイズの膜に被われた音声が、電波に乗って真空の暗闇を飛び交う。その声は、任務の中核を担う一人の少女の耳に届いていた。


『追跡班、両機の現在位置を報告』
『ポッド・ツー・ダッシュ、作戦高度に到達。予定軌道に乗った』
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:25:54.27 ID:VZdRWGZA0
『S1C燃焼終了。圧力弁を閉鎖』
『第二弾、ブースターユニットをジェットソン』
 ブースターユニットが本体から分離すると、本体を見送る星屑となって消えていった。
『減速行動を終了』
『最終作戦軌道への投入準備。機首を反転。回頭開始』
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:26:47.62 ID:VZdRWGZA0
 赤いヘルメットとプラグスーツに身を包んだ少女は、コックピットの中で次々と状況を伝える映像に意識を集中していた。室内の音声モニターからは、オペレーターの無線に混じって、緊張感の無い少女の鼻歌が聞こえていた。その鼻歌は、赤い少女のコックピットの中へ入り込んでいた。
『目標との交叉起動に乗った。接触まであとハチマル』
『目標物を確認』
『接触地点に変更なし』
『シフトMを維持。問題なし』
以下略 AAS



5:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:27:36.01 ID:VZdRWGZA0
「うっ!!」
 バットで鉄板を殴ったような音と共に、激しい衝撃がコックピットを襲った。赤い少女は、機体の揺れに体を奪われてうめき声を上げる。無数の破片が、突然降り始めた雹(ひょう)のように次々と機体に衝突していく。
『続いて第二破。パターン青。厄介な連中だ』
『接近中の物体を識別。コード4Aと確認』
 レーダーがそれを捉えて間もなく、超高速の飛行物体がポッド・ツー・ダッシュ目掛けて突っ込んで来た。飛行物体は、円盤状の本体の平面に二本の爪を生やし、それを前方に突き出した状態で体当たりを仕掛けてきた。
以下略 AAS



6:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:28:26.14 ID:VZdRWGZA0
「コネメガネ!いつまで歌ってんの!うっとおしい!」
 アスカは、暖気な歌声の主に苛立ちを向けながら、特攻を仕掛けて来る飛行物体を弾き返して応戦する。先程まで漂っていた静寂の中の緊張感はどこかへ消え、宇宙空間は一瞬にして物理的な戦場と化した。再び改2号機のATフィールドに食らいついた飛行物体を、遠方から鼻歌の主が狙撃して撃破する。
「援護射撃、2秒遅い!」
 アスカは苛立った顔で、狙撃の方角を睨みつける。
「そっちの位置、3秒早い」
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:29:31.26 ID:VZdRWGZA0
『2ダッシュ、最終ブースターをジェットソン。再突入保安距離を確保』
「強奪成功。帰投するわ」
 アスカは、息を荒げて胸を大きく上下させた後、呼吸を落ち着かせて外の景色に目をやった。
『了解。回収地点にて待つ。合流コードはサターン・ファイブ』
 ミサトの声が無線から流れる。
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:30:01.23 ID:VZdRWGZA0
休む暇もないまま、突然コックピット内にアラートが鳴り響いた。モニターには、即座に状況を解析したコードが表示される。

 Baillee
 Ulterior
 Lypanes Pelponer
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:30:47.48 ID:VZdRWGZA0





以下略 AAS



10:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:31:30.38 ID:VZdRWGZA0
パターン青!?どこにいるの!」
 アスカは顔色を変えて周囲を見渡した。しかし、敵は見当たらない。
『妨害物はコード4B。フィールド反射膜を展開中』
 オペレーターの音声が届く。敵は目の前にいた。アスカが捕えたコンテナは、正方形の面をサイコロの展開図のように広げて、あっという間に長い触手を作り上げてしまった。
「ちっ、しゃらくさい!再突入直前だっちゅうの」とアスカは言った。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:32:05.48 ID:VZdRWGZA0
「ちっ、役立たず!もう、しつこい!こんなの聞いてないわよ!」
 アスカは苛立ちを押さえ切れずに、改2号機の足でコンテナを蹴飛ばした。コンテナから伸びた触手は、波打ちながら一塊の束となって収束していく。触手はコンテナと改2号機を取り囲むようにして輪を作ると、光を帯びて激しく輝き出した。
「ひっ!?」
 触手が放った光は、一点に集中して改2号機の顔を焼き付けるように照らした。それを受けたアスカの左目が発光する。
「うわっちっちっちっち、なにこの光!ATフィールドが中和してない!」


12:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:35:31.72 ID:VZdRWGZA0
 LCLで満たされたコックピット内に、アスカの左目から血の色をした気泡が吹き出す。
「コアブロックをやらないと……逃げんなゴラァー!」
 コンテナの中心にあった円盤状のコアが、平面状の触手を伝って改2号機から離れて行く。
「ヤバい!降下角度が維持できない!このままじゃ機体が分解する!」
 きりもみ状態で急降下を続けるコンテナと、必死でそれにしがみつくエヴァ改2号機。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:36:18.57 ID:VZdRWGZA0
「うあっ!」
 衝撃で上半身を後ろに弾き飛ばされたエヴァ改2号機。その姿勢を戻した時には、左肩から先が完全に失われていた。
「ぐうううぅぅぅ……」
 見るも無惨な姿になった改2号機に対して、次々と触手の放つ光が襲いかかる。チクチクと刺すような痛みと、爆発の衝撃を繰り返し浴びたアスカは、思わずコンテナに向かって叫んだ。


14:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:37:21.32 ID:VZdRWGZA0





以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:38:32.43 ID:VZdRWGZA0
 その声に答えるようにして、コンテナに赤い亀裂が入る。
次の瞬間、紫色の光が一直線に伸びたかと思うと、一瞬のうちに触手を切り刻み、細切れの藻屑へと変えてしまった。そして、強力な電磁砲が逃げ出したコアを追い立てるようにして放たれると、遂にそれを破壊した。

 アスカは、唖然とした表情で目標物を見ていた。その視線の先には、赤い亀裂の隙間から人の目のようなものが覗いていた。その目は、ゆっくりとまぶたを閉じて、再度の深い眠りへ入ったかのように見えた。


16:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:39:42.79 ID:VZdRWGZA0





以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:40:33.04 ID:VZdRWGZA0
 戦闘が起きた宇宙空間の遥か彼方で、その光景を眺める一人の少年の姿があった。
 銀髪の少年は、事の顛末を全て予見しているような表情で、地球に向かって降下する光を見ていたのだった。


18:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:44:24.52 ID:VZdRWGZA0




■ヱヴァンゲリヲン新劇場版ifルート
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:45:20.79 ID:VZdRWGZA0
 シンジは突然目を覚ました。そこは、赤い光によって不気味に照らされた、隔離施設のような部屋だった。シンジが目覚めたのは、その中に置かれた無骨な装甲で被われているベッドの上だった。
 慌ただしく駆けていく足音と、ストレッチャーの車輪がきしむ音とが、廊下に響き渡る。シンジの目覚めたベッドは、何者かによってエレベーターに乗せられて、どこかへ移動しているようだった。
「心肺機能は正常です。四肢の麻痺も認められません。ハイ。目は開いてます」
 シンジの直ぐ近くで、若い女性の声が聞こえる。その女性は、仰向けになって天井を見上げているシンジの視界を覗き込むようにして、シンジに声を掛ける。
「私の言葉が理解できますか?」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:46:29.00 ID:VZdRWGZA0
「ここは……どこですか?」
「言葉は話せます。意識は戻ったようです」
 ベレー帽の女の子は、その質問には答えずに状況報告に務める。彼女は、シンジの寝ているベッドの横に座り、通信機器で外部と連絡を取っているようだった。この場所が病院でないことは容易に想像が付いた。なぜなら、シンジの両手、両足はベッドに拘束され、ベッドの四隅に銃を構えた軍人らしき男達が立っていたからだ。
「確か……綾波を助けて……」
 シンジは過去の記憶から今の状況に繋がるまでの道筋を探そうとしていた。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2019/05/28(火) 14:47:40.64 ID:VZdRWGZA0
 ──エレベーターが地下のフロアへ到着して、シンジの乗せたベッドは巨大な空間へと運ばれて行く。周囲には、何らかの作業を進めるスタッフの声が飛び交っていた。
『補給作業、搬入リストの86%までクリア』
「稼働中のN2リアクターは出力で90%を維持、圧力便は手動で解放してくれ」
「半径1200以内に艦影なし。未確認飛行物体も認められず」
「乗員の移乗は、Dブロックの船を最優先」
以下略 AAS



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