道化の道化「狂いながら壊れながらも、一緒に生きよう」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:50:01.61 ID:ZeTen5TYO
「……」

その日から、僕は暇さえあれば道化の様子を伺うようになった。幸い、いつも傍に居る。

「……」
「お腹すいた?」
「……」
「そっか……違うのか」

しばらく動向を観察してみたものの、道化はいまいち掴めない存在で何を考えているのかさっぱりわからなかった。ただ、見てて飽きない。

お手玉の練習をしていたかと思えば、頼まれた編み物をしたり、窓の外をぼうっと見つめたり。

「窓の外に何かあるの?」
「……」
「何も見当たらないけど……」
「……」

気になって窓の外に目を凝らすも、めぼしい興味を引くものは見当たらず、諦めて道化に向き直ると、また編み物の続きを再開していた。

「それは靴下かい?」
「……」
「冗談だよ。帽子だよね?」
「……」
「まさかセーターとか?」
「……」

編み物に集中しているのか、それとも答えるつもりがないのかは定かではないが、道化は黙々とひたすらに、一生懸命、毛糸を編み続けた。


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