道化の道化「狂いながら壊れながらも、一緒に生きよう」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:53:00.78 ID:ZeTen5TYO
「また、窓の外を見てたね」
「……」

しばらく月日は流れ、相変わらず掴み所のない無口な変わった道化ではあるものの、ふとした時に窓の外を眺める癖らしきものがあるということを、僕は把握した。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:55:25.80 ID:ZeTen5TYO
「本心を聞かせてくれ」
「……」
「君はここから出たいんだろう?」
「……」

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:58:07.99 ID:ZeTen5TYO
「儂が駆けつけた時には何もかも遅かった」

怯える僕を睨みつけながら、父は顛末を語る。

「同盟国が奇襲を受けたのはまさに寝耳に水だった。その凶報を知り、急いで救援に向かったが、既に手遅れだったのだ。王城は陥落し、城下町には火が放たれ……全てが終わっていた」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 23:00:26.91 ID:ZeTen5TYO
「……せがれよ、お前にこの話をするつもりはなかった。事の次第を話せば、儂はどうしても、感情的になってしまう。だから、許せ」

語り終えた父の怒りの劫火は、立ち消えて。
疲れたようにそう言って、僕の髪を離した。
ズキズキと痛む。頭ではなく、心が痛んだ。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 23:02:44.14 ID:ZeTen5TYO
「おまたせ! いや〜参ったよ!」
「……」

部屋に戻ると、道化はその場から動かずに帰りを待っていてくれて、その滑稽でありながら気品に満ちた佇まいを見て、思わず溢れそうになった涙を堪え、僕は道化として振舞った。

以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 23:05:18.27 ID:ZeTen5TYO
「ごめん……ありがとう」
「……」

道化は手に毛糸の塊のようなものを持っていて、その少しチクチクするけれど暖かい温もりを感じる編み物に、僕は興味を惹かれた。

以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 23:06:59.01 ID:ZeTen5TYO
「フハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」

高らかに。狂ったように。哄笑を、響かせた。
狂っているのは君だけじゃないと伝える為に。
君だけが壊れているのではないと言いたくて。
以下略 AAS



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