道化の道化「狂いながら壊れながらも、一緒に生きよう」
1- 20
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/01(木) 22:53:00.78 ID:ZeTen5TYO
「また、窓の外を見てたね」
「……」

しばらく月日は流れ、相変わらず掴み所のない無口な変わった道化ではあるものの、ふとした時に窓の外を眺める癖らしきものがあるということを、僕は把握した。

「何かを見てるわけじゃないよね?」
「……」
「当ててみようか?」
「……」
「君は外に出たいんだろう?」

道化は答えない。黙したまま目を伏せて。
またいつも通り、編み物で誤魔化そうとした。
その小さな手から、毛玉を取り上げる。
別に、意地悪をしているわけではない。
ただ僕は、正面から道化と向き合いたかった。

「正直に話してくれないか?」
「……」
「君はどこかの国のお姫様だね?」
「……」
「大方、父が侵略をして亡国となった王家の姫君であろうということは、薄々察している」

たぶん間違いないだろう。
だからこそ、胸が痛んだ。
この仕打ちはあんまりだ。

「君は自由になりたいんだよね?」
「……」

僕のその問いかけに、美しい細面に滑稽な白粉と涙の雫のマークをあしらう憐れな道化の姫君は、何も言わず表情を消したまま首を横に振った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
12Res/13.83 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice