悪魔「私はあくまで、悪魔ですので」
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13:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/03(土) 01:18:05.62 ID:+bo6H8JxO
「今回だけですからね?」
「ありがとう、恩に着る」

場面は変わり、冒頭と同じく衛兵の自室。
地獄の底から辛くも舞い戻った衛兵の手には、一振りの美しい漆黒の大太刀が握られていた。
妖艶な美を誇るそれはまさしく魔剣であり、契りも結ばずに力を貸す為に苦肉の策として悪魔が姿を変えて剣となったものである。

「綺麗だな」
「ふぇっ!? な、何言ってやがりますか!?」

お約束のお世辞にげふんげふんと咳払いをして、魔剣は真面目くさった声で説明をした。

「見ての通り、今の私はあくまで道具です」
「ああ」
「道具は悪魔と違い対価を求めません」
「ありがとな」
「ちっ。やはりあなたは何もわかってませんねぇ……タダより高いものはないんですからね!」
「ああ、肝に銘じておく」

慣れない感謝の言葉に反発して毒舌を吐く魔剣を優しく握りしめ、衛兵は姫君の元へ赴いた。

「大国をぶっ潰すんじゃなかったのですか?」
「まずは穏便に話し合いが先決だ」
「大太刀提げて穏便に話し合いですか?」
「なら、乱暴な話し合いをするまでだ」

悪魔の悪意にすっかり染まった衛兵は、悪そうに口の端を曲げて、悪魔の力で身体を浮かし、姫君が在わすであろう寝室のバルコニーへと音もなく降り立った。時刻は深夜で月が綺麗だ。


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