悪魔「私はあくまで、悪魔ですので」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/03(土) 01:05:12.31 ID:+bo6H8JxO
「それで? 契りを結ぶつもりあんの?」

そっぽを向きながら悪魔が衛兵の意向を尋ねるも、暫く沈黙が続いて、答えが返ってこない。

「お前さぁ……いい加減にしろよ?」
「……すまん」

業を煮やした悪魔が衛兵に視線を向けると彼は苦渋の表情を浮かべており、何やら思い悩んでいるらしく、事ここに及んで何をそんなに迷う必要があるのか、それが気になり尋ねてみた。

「とにかく、その悩みとやらを話してみろよ」
「聞いて、くれるのか……?」
「言っとくけど、あくまで悪魔の私はお前の悩みを解決するつもりはない。むしろもっと拗らせて、悪化させるつもりだから、悪しからず」

もうすっかり聞き慣れた悪魔の前置きと決め台詞の裏に込められた優しさに衛兵は頬を緩め、想い人について語る。

見習い兵士の頃に、姫様と知り合ったこと。
お忍びで街に出たいと請われ助力したこと。
その際は護衛を務め、共に街を歩いたこと。
暴漢に襲われた時は身を呈して庇ったこと。
その帰り姫君から頬に口付けをされたこと。

「ん? ちょっと待て」
「なんだ?」
「それってもう、両思いじゃね?」
「それがどうした?」
「だったら私に願う必要なくね?」
「俺が願ったのは姫様と見合う立場だ」
「あー……そうだったな。はいはい、続けて」

勘違いをしていたらしい悪魔は渋々納得し、さも面白くなさそうなぶすっとした顔で、もはや聞きたくもない衛兵の惚気話の続きを促した。


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