悪魔「私はあくまで、悪魔ですので」
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9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/03(土) 01:07:52.93 ID:+bo6H8JxO
「どれだけ互いに愛し合っていたとしても、俺と姫様の間には身分の違いという越えられぬ壁があった。それでも気持ちが通じ合ってさえいればいいと思っていた。だが、ある日のことだ」

事前の連絡もなしに沢山の兵士を引き連れて、大国の王子が国境を越えて城までやってきた。
物々しい雰囲気に城内は騒然となったが、越境の際に派遣した使者によると、戦争するつもりはないとのことでとにかくその王子を迎えた。

「城に来た王子は姫様に婚約を申し込んだ」

確固たる武力を誇示し、何も言えずに怯える小国の姫君を寄越せと、大国の王子は要求した。

「我が国の王は激怒した。当然、表沙汰にはしないものの、密かに兵を集めてなんとか大国の王子を追い返そうと画策したが、その目論見は実行に移す前に脆くも崩れ去ってしまった」
「ふーん。なんで?」
「姫様がその婚約を承諾されたからだ」

国に暮らす民を思う姫君は、王子に手を出して大国とことを構えるのを避け、要求を飲んだ。

「そうして、俺は悪魔に願ったというわけだ」
「あっそ。お幸せに」
「今の話のどこに幸せな要素があった?」
「だってお前いま、鼻の下が伸びてるし」
「伸びてない」
「ほっぺにちゅーされたんだろ?」
「それがどうした」
「なら、それでいいじゃねーか」
「良くない」
「ふーん? それ以上もしてみたいってこと?」
「話の趣旨がズレてるぞ」

趣旨がズレようが悪魔にはどうでも良かった。
そもそも、途中からロクに話を聞いていない。
欠伸をしながら悪魔は投げやりに結論付ける。


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