【シャニマス SS】P「プロポーズの暴発」夏葉「賞味期限切れの夢」
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11: ◆/rHuADhITI[saga]
2019/08/18(日) 02:25:12.84 ID:oj63shz20
「生まれは……いわゆる中流階級ってことになるのかな。中学までは地元で過ごして、高校大学は成績に見合ったところに進んだよ。卒業と同時に一般企業に就職した。そこに二年間勤めた後に、283プロに転職して今に至る」
 こんな感じでいいのだろうか、と心の中で疑問符を浮かべた。人生の要約というのは案外難しい。

「成績はよかったの?」
「まあ、そうだな。トップクラスではなかったけど。要領だけは良かったから」
「目に浮かぶ気がするわ」

 学年一位を目指す、といったタイプではなかったが、勉学に対しては真面目な生徒だったように思う。厳密に言えば通知表の数字の方に真摯であった。数学の公式の美しさを理解することよりも、成績のための『ちゃんとした』努力に心血を注いでいたのだろう。おそらく周囲の大多数と同じように。

 自分にとっての通知表とは、五段階評価なら『5』を、優良可なら『優』を、ただ集めるだけのものにすぎなかった。

 俺は再度割り箸を手に取って、閉じ卵を切り裂くように二つに割った。

「学生の頃から趣味はマフィン作りとアイドルだった」
「それは相変わらずなのね」

「どっちも不思議としっくりときたんだ。昔から妙に波長の合う趣味だった」
「……じゃあ、283プロに転職したのも?」

 夏葉の声色が微妙に変化した。彼女の興味は最たる部分はここに在るらしい。俺は少し考えてから言った。

「アイドルというものに憧れて転職した、という意味なら……どうかな。違う気がする。憧れがあったのは間違いじゃないし、それが無関係というわけでもないんだけど……」

 歯切れの悪い物言いになった。自分でも上手く転職当時のことをかみ砕けていないせいだ。夏葉も困惑の表情を浮かべている。いっそのこと事実をまとめずに話してしまった方がよさそうだ。

「前の職場は追い出されたんだ。世話になった上司に。勤務態度で」
「勤務態度? アナタが?」
 夏葉はますます困惑の色を深めた。



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