ハリー・ポッター「僕の言うことを聞け」ドラ子・マルフォイ「……はい」
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名無しNIPPER
[sage saga]
2019/12/07(土) 21:43:43.24 ID:kNKMPaOnO
「もし良ければ、隣に座ってもいいかな?」
「ふぇっ……は、はい。どうぞお掛けください」
ドラ子は目の前の光景が信じられない。
ハリーは両親をあのお方に奪われた。
それなのに今、彼は自分の目の前にいる。
「そんなに意外だった?」
「は、はい……何かの間違いかと」
「間違えて組分けされたらたまらないよ」
ハリーは冗談めかしてクスクス笑った。
ドラ子はそんな彼の笑顔に目を奪われた。
別段、ハンサムなわけではないけど惹かれる。
一番近くでもっとその笑顔が見たいと思った。
「さて、諸君! 宴を始めよう! 乾杯!」
その後のアルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア校長の祝辞は全く耳に入らず、気づくと校長は語り終えていて、口調こそ朗らかではありつつも、話の最中
、終始全てを見透かすかのようなブルーの瞳が半月の眼鏡ごしに隣に座っているハリーを見つめ続けていたことだけはわかった。
そんな警戒しているのか観察しているのか判断がつかない視線を向けられていた当の本人であるハリーも校長に負けず劣らず、気づいていないのか、はたまた気づきながらも知らんぷりしているのか判断出来ない、とぼけた口調で。
「わあ! すごく美味しそうなご馳走だね!」
目の前に現れた豪勢な晩餐を見て喜んでいた。
「僕、こんなに満腹なの初めてだよ」
ハリーは少々テーブルマナーに疎いらしく。
ほとんど手づかみでガツガツ料理を頬張った。
注意するか迷ったけれど、出来なかった。
こんなにも嬉しそうな彼の機嫌を損ねたくはなくて、それでも頬についたソースが気になり。
「あの、もし良かったらナプキン使います?」
「ん? もしかしてほっぺについてる?」
「はい、これで拭いてください」
「ありがとう! これでキレイになったかな?」
ソースのついた方とは逆のほっぺを拭くハリーを見て、ドラ子はもどかしい気持ちとなり。
「こっちです」
「なんだそっちか。拭いてくれてありがとう」
思わず手を出して彼の頬を拭いてあげると、屈託のない笑顔で感謝を告げられて、ドラ子はもう別な意味で満腹になってしまった。嬉しい。
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