26: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:33:50.96 ID:clFucneV0
  
 「凛ちゃん、ですよね?」 
  
 「みんなその反応、するんですね」 
  
27: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:35:52.54 ID:clFucneV0
  
 「ぴったり、です」 
  
 「よかったー。じゃあ、行きましょう」 
  
28: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:37:50.77 ID:clFucneV0
  
 久しく、忘れていた感覚が蘇る。 
  
 慶さんの指先が再生ボタンに触れて、押されるまでの一瞬の動作がスローモーションで見えていた。 
  
29: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:38:59.53 ID:clFucneV0
  
 やがて、音楽が止まる。 
  
 どうしても、鈍ってるなぁと感じてしまうが、数年のブランクがある中では踊れた方ではないだろうか、とも思う。 
  
30: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:41:23.64 ID:clFucneV0
  
 何かを教えられた気もせず、お礼を言われるほどのことができたとも思えなかったので、どうにも受け取り辛い感謝だったが、ここで否定しても良いことはないと判断して、私はそれを受け取った。 
  
 そして、いくら私がかつての関係者と言えども、今を全力で駆け抜けている子たちの邪魔をする権利はどこにもない。 
  
31: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:42:15.02 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 受付に戻って入館証を返し、少しの雑談を経たあとお礼を述べてレッスンスタジオを出る。 
  
32: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:43:37.78 ID:clFucneV0
  
 ■ 四章 結露 
  
 レッスンスタジオを訪問した翌日、いつもどおりの時間に目が覚めた私を襲ったのは電撃のような痛みだった。 
  
33: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:44:23.03 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 いつもどおりの日課を終えた私は、すぐさま荷物をまとめて自宅を出た。午前中に向かうのは、よくお仕事で訪れたテレビ局に行くことにしていた。 
  
34: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:46:48.65 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 それからは、結果から言えば、何もなかった。 
  
35: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:48:21.29 ID:clFucneV0
  
 〇 
  
 午前中に家を出て、懐かしの場所周辺を練り歩き、昼食を摂りまた練り歩く。 
  
36: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2019/12/08(日) 21:49:23.09 ID:clFucneV0
  
 ■ 五章 在  
  
 どれくらい、途方に暮れていたのだろうか。すっかり陽が落ちて、辺りは夜の帳が下りていた。 
  
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