【ミリマス】育「おもちゃのチャチャチャ」
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12:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:46:41.48 ID:uct5lrwh0
彼女は長い時間を部屋で一人で過ごしながら、頻繁にわたしを呼び、微笑んだ。

彼女はわたしに何かを話しかけると、その度にわたしを片手で持って"わたし"に扮して喋り、まるでわたしと会話しているかのように振る舞った。

彼女が演じる"わたし"は、彼女の何をも否定しなかった。
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:47:17.20 ID:uct5lrwh0
それから半年ほどで、彼女はあっさりと母親の元へ戻ることになった。わたしも彼女と共にそこに連れて行かれた。

以前よりは"わたし"と遊ぶ機会の減った彼女だったが、それでも日に何度かは必ず"わたし"に話しかけ、"わたし"もそれに応えていた。

数年後、中学生になった彼女は"わたし"に全く話しかけなくなった。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:47:43.86 ID:uct5lrwh0
気がつけばわたしは捨てられ、ガラクタの山の中にいた。

かつて人の営みの中で何かの役目を与えられていたであろうモノたちが、見る影もなく雑多に折り重なって造られた山だ。

わたしは認識した。ここが終わりの地。わたしにとっての墓場なのだと。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:48:14.82 ID:uct5lrwh0
しかしわたしは消えなかった。魂を宿し付喪神となり、この世に留まり続けた。

わたしをこの世に留めたものは何なのか。

怨みなど抱いた憶えはない。そもそも怨めるほど彼女に肩入れした憶えなどないのだ。なにせ彼女はわたしの当初の持ち主ではなかったのだから。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:49:04.83 ID:uct5lrwh0
人形「――不要になったおもちゃは捨てられる運命。だけどあなたは人間。わたしのようになってはいけない」

育「うん……あなたがどうしてお化けになったのはわかったけど、どうしてわたしがあなたに似てるって思うの?」

人形「あなた……本当に心当たりがないの?」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:49:56.99 ID:uct5lrwh0
まつり「はいほー! 育ちゃん、お菓子作りのお手伝いをするんじゃなかったのです? 律子ちゃんたちが呼んでいたのですよ」

育「あっ、ごめんまつりさん。今行くね」

人形「長話に付き合わせてしまってごめんなさい。今日はもう十分よ。また明日来るわ」
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:50:37.40 ID:uct5lrwh0
人形「目的……そうね。目的もないのに、こんなに遠くまで来たりしないですものね」

まつり「もしも育ちゃんを危ない目に遭わせるつもりなら、容赦はしないのですよ」

人形「別にあの子に危害を加えるつもりはないわ。しいていうなら、忠告をしに来たというところね」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:51:19.19 ID:uct5lrwh0
人形「二ヶ月ほど前、あの子の写真がジャケットに入った同じCDをまとめて捨てに来る人が何人も現れた。中には何十枚って程の束で捨てる人もいたわ」

まつり「封入特典目当て……けれどそんなことアイドルなら誰でも――まさかそのCD、桃子ちゃんとの合同リリースイベントの抽選シリアルが入っていた……」

人形「再生紙ゴミの山にあった色んな雑誌を読んで知ったわ。育ちゃんと桃子ちゃんのCDが同時期に発売され、合同イベントの開催が告知されていたこと」
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:52:22.68 ID:uct5lrwh0
――その日の夜


律子「それじゃあ明日はいよいよ全体での初レッスンよ。朝一番からビシバシ行くからしっかり準備してくること」

以下略 AAS



21:名無しNIPPER[saga]
2020/01/11(土) 21:53:30.08 ID:uct5lrwh0
……

…… ……

少女のかけた魔法によって、ゴーレムは目覚めた。
以下略 AAS



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