19:名無しNIPPER[saga]
2020/03/25(水) 23:49:23.55 ID:CTG1QIS00
「話を聞いてくださいッ!」
けど俺は咄嗟にそんな冨岡を無理やり引っ張り出すようにして外へと押しやった。
正直全力の体当たりだったけど冨岡さんは怪我一つ負うこともなくピンピンしていた。
「…何の真似だ。お前も鬼殺隊の剣士。ならば悪鬼は斬らねばならない。」
「わかっています。けど女将さんは身篭っています。
いくら悪鬼とはいえお腹には生まれてくる赤ん坊がいるんだ。せめて子供が生まれるまで待ってあげられませんか!」
俺は先程聞かされた事件の詳細を冨岡さんにも説明してみせた。
なんとか事情を話して納得してもらうつもりでいた。
「ふざけるな。どんな事情があろうと人を喰った悪鬼など野放しには出来ない。」
だけど事情を話しても冨岡さんの考えは変わらなかった。
いや、最初からわかっていたことだ。駄目元で話をしてその返答がこれだった。
鬼殺隊の隊士なら誰もが悪鬼滅殺を信条として闘いに挑んでいるんだ。
俺だってそのうちの一人だ。けれど…どうにかしてやりたい時だってあるんだ!
「何も見逃してほしいとは言っていません。せめてお腹の子が生まれるまでの間だけでも待ってあげられませんか!」
「ならば尋ねるぞ。生まれてくる子は人か。それとも…鬼か。どちらだ。」
冨岡さんから問い詰められて俺は言葉を失くした。
生まれてくる子が人なのか鬼なのかなんて俺にわかるわけがない。
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