王馬「大変だ!オレが行方不明になっちゃった!」
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26: ◆DGwFOSdNIfdy[saga]
2021/09/04(土) 10:15:45.57 ID:FnF6jCqL0
ただただ気不味かったし居座る理由も無いので、僕は入間さんに軽く挨拶だけしてコンピュータールームを後にした。

そのまま4階をひと巡りしたが王馬くんの姿は見当たらなかった。

もう真っ直ぐ自室に帰ってしまおうかとも思った。が、寮の中で王馬くんと鉢合わせると少し面倒臭い。状況的に約束を放っぽったと責められかねないのだ。

だからといって別にどうという事は無いが、彼自身の言動を棚上げして被害者面などされようものなら非常に胸糞が悪くなる。

最原「一応、探す振りだけでもしておこうか…」

何も真面目に探す必要は無い。適当に辺りをぶらついて、それを誰かに見てもらってアリバイにすればいい。

先にたまたま、王馬くん『を』探している方の王馬くんと会えれば合流という形になるだろうし、王馬くん『が』探している方の王馬くんと遭遇すれば…取り敢えず王馬くんの部屋の前まで連れて行けばいいだろうか。僕に出来るのは精々それくらいだ。

今までになんだかんだふたりであちこち学園の敷地内を見て回ったので、未確認の場所はそう多くない。取り敢えず僕は次の階層へ足を運んだ。


─5階廊下─


語弊を覚悟で結論から言うと、王馬くんはそこにいた。

最原「あの…お取り込み中、かな?」

王馬?「……ぅ……」

僕には王馬くんらしき人物がなんらかの罰を受けているように見えた。しかし、一切の理由も意味も無くただ苦しんでいるだけのようでもあった。実のところはどちらなのか、当然ながら傍目では判らない。

彼は、ライオンにも狛犬にも似ている奇妙な獣に胴体を噛み砕かれている。獣の牙が炎を纏っているので血は殆ど流れない。その分だけ掃除が楽そうでいいが、タンパク質の焦げる不快な臭いはどうにかならないものか。後で裏方がどうにでもしてくれるんだろうけど。

そんな状態の彼にまともな受け応えなんて出来るはずが無い。刺し貫かんばかりの鋭い視線でこちらを睨みながら歯を食い縛っていたから、そうでなくてもお喋りは出来なかったろうな、という気もしている。


燃えたり煤けたりしてところどころ黒くなっているものの、推定王馬くんの服は元々白い拘束着──のようなデザインのコスプレ衣装らしい。脱力した両脚からだらりと飾りベルトが垂れている。

服装を観察してようやく思い出した。彼はオーディション会場の体育館にいた、王馬くんじゃない?王馬くんだ。そうなると目当ての王馬くんとは全く別物である可能性が高い。


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