30: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 20:59:58.54 ID:/922GZR/0
  姉の影響で俺もずいぶんと真面目ではあるが、姉は特に筋金入りだ。 
  
  髪留めで何故「いやらしい」となるのかはわからなかったが、とにかく生真面目すぎる。 
  
  そんなことはどうでもよくて。 
31: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:03:08.88 ID:/922GZR/0
  髪留めを手渡した彼女は、通称「不思議っ娘」と呼ばれていた。 
  
  ふわっとした癖っ毛で、常にボーっとした顔をしている。 
  
  人と話しているところはほとんど見たことがない。というか、ほとんど空気だ。 
32: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:03:38.24 ID:/922GZR/0
  しかし、今日だけはやけに長い間居座っていた。だから、声をかけたのだが。 
  
  そして、帰路で姿をくらました。物音も立てずにだ。 
  
 男「そもそも明日、登校してくるのか?」 
33: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:08:06.36 ID:/922GZR/0
  
  俺は電車通学をしている。 
  
  姉とは同じ学校だけれど、登校時間はズラしていた。姉の方が俺より早く登校する。 
  
34: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:21:32.22 ID:/922GZR/0
  慌てて彼女のいるホームへと向かう。あっちは学校と逆だ。 
  
  この時間帯の電車を逃したら、間違いなく遅刻。 
  
  向かっている途中で、電車が到着した音が聞こえる。そして、乗客待ちの音楽が鳴りだす。 
35: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/05/10(日) 21:48:29.99 ID:/922GZR/0
  遅刻確定かと思いきや、急いでみるとギリギリ、遅刻を免れることができた。 
  
  汗はダラダラ、息は絶え絶えになりながら席に着く。そして、すぐにチャイムが鳴る。 
  
 男「はぁはぁ……えっ」 
36:名無しNIPPER
2020/05/12(火) 15:39:49.35 ID:zM1w2QAD0
 続けたまえ 
37: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/06/14(日) 16:50:57.85 ID:8BvEnJ7D0
  さっき、向かいのホームで見たのは、見間違えだったのか。 
  
  しかし、さっき見たのは他人の空似なわけがない。 
  
  間違いなく、彼女だった。 
38: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/06/14(日) 16:52:34.08 ID:8BvEnJ7D0
 男「……はぁ」 
  
  一つ大きな溜息を吐いて、俺は身軽なスクールバッグを机横のフックに掛けた。 
  
 男「急にいなくなるよ。昨日相当心配したんだぞ。あと、これ」 
39: ◆qhZgDsXIyvBi[saga]
2020/06/14(日) 16:55:02.33 ID:8BvEnJ7D0
 男「自分でやれよ」 
  
 女「……」 
  
  感情の無い瞳が、こちらを見ている。 
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