231:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 12:03:47.21 ID:7gnP6kF90
  
  
 卯月が完全におやすみモードへ突入したのを見届けると、 
 加蓮は冷房の設定温度を少しだけ上げました。 
 部屋の明かりを消して、自分も久々のお布団の中へ潜り込みます。 
232:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 12:23:25.26 ID:7gnP6kF90
  
  ◇ ◇ ◆ 
   
  
 何かの拍子に窓ガラスが音を立てました。 
233:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:04:21.86 ID:7gnP6kF90
  
 スリッパを履き、奏と共に病室を後にします。 
  
  
 今回も病院内は息を潜めるかのように静謐を湛えていて、 
234:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:25:39.69 ID:7gnP6kF90
  
 憫笑。 
  
 昔、何かの小説で知ったそんな言葉を、加蓮は思い出していました。 
 きっと、奏のこの笑みを表す為に作り出された表現なのだろうと、 
235:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 13:48:00.29 ID:7gnP6kF90
  
  「んっ……」 
   
 整った顔を少しだけ歪め、奏は指先に力を籠めます。 
 ざりざりという悲鳴にも似た耳障りな音を立ててドアが開け放たれると、 
236:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 14:34:24.73 ID:7gnP6kF90
  
  
  「――ねぇ!」 
   
  
237:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 15:13:41.71 ID:7gnP6kF90
  
 奇跡的に何とか停車する事が出来ました。 
 しかし、何故だかエンジンまで鼓動を止めてしまい、 
 どれだけいじり回してもうんともすんとも言ってくれません。 
  
238:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 15:32:12.91 ID:7gnP6kF90
  
  「ふふっ……レイトショーなんて初めて」 
   
  「ごゆっくり」 
   
239:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 16:30:07.23 ID:7gnP6kF90
  
  
 百貨店の向かい、細長いビルの一階と二階に掲げられた顔馴染みのアルファベット。 
 やっぱりこのお店は照明が煌々と灯っていて、加蓮は店内へ続く扉を押し開けました。 
  
240:名無しNIPPER[saga]
2020/05/10(日) 16:44:04.55 ID:7gnP6kF90
  
  ◇ ◇ ◆ 
  
   
 目の覚めるほど綺麗な顔が眠りこけていました。 
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