高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/16(日) 18:47:36.22 ID:zzfrO0HF0
今日の海は、昨日と少し違ってさらさらしている感じがする。オールを漕ぐ手の感触からそんなことを思う。あの後、あずきちゃんとあやめちゃんとの合同練習が今日はないことを確認された私は、アイさんに連れられるままゴンドラに乗りこんだ。そして、大きなバスケットを持ったアイさんとアリア社長を乗せ、今ゆっくりとゴンドラを漕いでいる。
「それでアイさん、どこに向かうんですか?」
私はゆっくりとオールを漕ぎながら、アイさんに目的地を尋ねる。
「んー?それはねぇ……とっておきの場所、かな」
「とっておきの場所……?」
「そう。きっと藍子ちゃんにとってもとっておきの場所になるんじゃないかな」
あ、この水路をまっすぐね、とアイさんは言いながら、さっきまで私の顔を見ながら座っていた席から位置を変え、進行方向を向いた。
アイさんの指示に従いながらしばらくゴンドラを漕いでいると、急に人通りならぬ船通りの多い水路に出た。
「わわっとと……」
私は他の船にぶつからないようにかじを取りながら、慎重に進んでいく。時折後ろを確認して、自分の後ろに船がいないか確認する。もし、私の後ろにも船がいるのなら、急がないといけないから。途中、何回かすれ違った水先案内人の人に、「がんばれ」と言われたのだが、これは一体どういうことなのだろうか。確かに私はまだペアだから、このくらい交通量の多い水路は他の人からすれば危なっかしく映るのだろう。私は少し不安になってアイさんをちらっと見る。しかし、アイさんは私の方には振り向かず、さっきと同じく前を向いていた。アリア社長はアイさんの膝で丸くなっている。
「……アイさん」
私は何となくアイさんに話しかけた。
「うん?このまま真っすぐで大丈夫だよ?頑張ろう!」
アイさんは振り返らずにそう言った。
「……はい!」
私はもう一度気合を入れなおして、この交通量の多い水路を突破しようとゴンドラを漕ぎ始めた。
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