高森藍子が一人前の水先案内人を目指すシリーズ【ARIA×モバマス】
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◆jsQIWWnULI
2020/08/16(日) 18:50:04.86 ID:zzfrO0HF0
またしばらく漕ぎ進めると、目の前に大きな壁が現れた。
「わぁ……これは……」
水路はこれ以上進めなさそうだ。私はアイさんに話しかけた。
「アイさん……これ……」
するとアイさんは振り返って微笑んだ。
「大丈夫。ちょっと待ってね……」
アイさんはそう言うと、「おじさーん!」と叫んだ。しばらくすると、「あいよ」という声と共に、一人のおじさんが現れた。
「ちょっとまってな。もう少しで下りてくるかんよ」
おじさんはそう言うと、ビーチチェアのようなものに座り込んだ。
「何が起きてるんですか?」
私は小声でアイさんに尋ねる。アイさんはそんな私の顔を見てニヨニヨしながらも、何も言わない。そのすぐあと、目の前にそびえ立っていた壁が突然機械音と共に二つに割れた。
「わっ……」
「んじゃ、中に入って大丈夫だかんよ」
おじさんが立ち上がりながらそう言う。私は言われた通り、壁の内側へと入っていった。壁の内側は、大きな空間になっていて、一部屋分のマンションの三階建てが立ちそうなくらい広かった。
「……なんか、マンションが建ちそうな空間ですね……」
私がそう呟くと、アイさんは笑いながらうなずいた。
「そうだね。そういえば、私も初めてここに来た時そう思った覚えがあるよ」
「アイさんも……?」
「うん。私たち、二人ともマンホーム出身だからね。マンホームの人間は、こういう空間はマンションっぽいって思っちゃうのかも」
二つに分かれた壁が再び一つになると、今度は水が流れてくる音がした。
「へぇ?!」
私が驚いた声を出すと、アイさんが口を開く。
「そんなに驚かなくても大丈夫だよ。これはね、水上エレベーターなの」
「水上エレベーター?」
「そう。水の量を調節することによって、上下に移動することができる、水路専用のエレベーター」
「へぇ……」
私は落ちてくる水を眺めながら、よく考えついたなと感心していた。
「なんだか、水に上げてもらってるなんて不思議な感覚ですね。いつもは横に移動するだけだから……そう言えば、これってどのくらいの時間がかかるんですか?」
「うーんっと、確かニ十分から二十五分くらいだったと思うよ」
「ずいぶんゆったりなんですね」
「うん。でも、ゆったり、好きでしょ?」
「はい!もちろん!」
アイさんに手招きされて、私はオールをひっかけながら、アイさんの横に座った。
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