アルコ&ピース平子「夏の概念と夢の国」
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6: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/08/26(水) 23:28:29.01 ID:qUczw4Pjo



2020年は厳しい8月を迎えていた。その厳しさったら驚くほどで、静岡の浜松ではついに41度にまで達した日が出たという。もはや暑さに人間どころか自然も勝てず、とうとうセミたちすらも鳴くことが叶わず繁殖するよりも先に死んでしまうらしい。
そのあまりの暑さに誰もが「いやぁ、今年オリンピックじゃなくってよかったね」なんて、大型イベントを逃した口実に使っているくらいだ。あのまま、熱に対する対策がほとんど練られないままで五輪を迎えていたらどうなったことかと思った。
休むことを知らない太陽の下で夏を全身に感じながら昨日のミスや今日のドジを明後日悩むことにして、強い日差しに目を細める。どこかから、水の音がした。ひょっとして打ち水だろうか。

「夏だなー」

なんでも東京がこんなに暑くなる理由ってのはいくつかあるが、つまるところ複合的要素が生み出す、ヒートアイランド現象ってやつらしい。俺には詳しくはわからなかったのだが、そういうことだ。
ちなみに浜松が暑くなった理由はこっちじゃなくてフェーン現象だとか。ええと、山から吹き降ろす風が温度を上げるんだったか?テレビで説明を見たけど、結局よくわかんねえな。カタカナばっかり使わないで、分かりやすい日本語で説明してほしい。
それにしても……ああ、もうだめだ、太陽光のおかげでほとんど思考が回らない。本当にぼんやりそんなことを思いながら、車へ向かった。
これだけ厳しい日差しなのだが、愛車のベガスイエローは品のある光沢を持ってひときわ美しく輝いている。ああ、そういうとこも好き。
エンジンを予めかけておけば、車内は快適そのものだった。涼しくて、最高だ。

「……はぁ」

車内でシートベルトをしてから、溜息をつく。ひんやりとした気持ちがいい風を頬に感じながら、風よりも冷たい意志をはらんだ息だった。
……今年は、最後の夏になってしまう。

「行きたかったなぁ、行ける日に」

スマートフォンをチラ見、こういうときに限ってスケジュールは埋まっている。心が寂しい、気持ちは妙に沈みこむ。
行きたかった、むしろ無くならないでほしい。
俺の夢の場所なのだから。


だって。

8月末で。


───としまえんが閉園してしまう!





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