37: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/10/03(土) 18:02:20.79 ID:P7mZ3r8kO
 ―― 
  
 ―――― 
  
  不定形な意識が、徐々に輪郭を持ち始める。 
  自然にまぶたが開かれて、光が網膜を焼きつけるように差し込んできた。 
   
 「ん、ん……」 
  
  懐かしい夢を見た。 
   
  遠い昔のようにも、ついこの間のようにも思える、今となってはただ懐かしいと感じる記憶を、私は辿っていたようだ。 
   
 「…………」 
  
  いや、それは間違っているのかもしれない。 
  そう『感じていた』記憶だ。 
   
  きっと、この前の休日に見かけてしまったせいだろう。 
  
  どうして? 
   
  どうして、今になって現れたの? 
   
  やっと忘れられていたのに。 
   
  かつて恋した彼の姿が、まぶたに焼きついて離れない。 
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