51: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2021/09/03(金) 18:09:52.72 ID:YbM8yKa9O
 「私、結構期待してたんだよ? 君に」 
 「何の話ですか」 
 「君なら雪乃ちゃんをって、買いかぶり過ぎだったみたいだね」 
 「…………」 
 「そんな簡単に手放すくらいなら、最初から何もしないでほしかったな」 
  
  思わずグラスがこぼれそうになる。この心の動揺は何故だろうか。散々自分でも導き出した話じゃないか。それがいざ他人から指摘されるとこんなザマとは。 
   
  だが、雪ノ下さんの言うことは尤もだろう。俺だって万一認めた男が小町に手を出しておいて、ありふれた理由で放り投げられたら、その相手に皮肉の一つも言いたくなる。 
   
  これは甘んじて受け入れるべき、罰なのかもしれない。 
   
 「……すいません」 
 「ごめんで済んだら警察はいらないよ」 
  
  何も返せなかった。せめてもの逃げとして煙草を一口吸うが、味はしなかった。 
   
 「……雪ノ下は」 
 「うん?」 
 「雪ノ下は、最近どうなんですか?」 
 「別にそれ、比企谷くんに教える義理、ないよね?」 
 「…………」 
 「ごめんごめん。流石に元カノの近況が気になるのは、普通のことだよね」 
  
  ケラケラと雪ノ下さんは笑い、そして一呼吸をおいてからまた口を開く。 
  
 「結婚、するんだって」 
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