7: ◆.6GznXWe75C2[saga]
2020/09/08(火) 21:28:09.09 ID:REk/3TwAO
 「別に吸ってもいいぞ? 私は気にしないし、こういうとこでは普通のことだ」 
  
 「……じゃあ」 
  
 ポケットから紙箱とライターを取り出すと、平塚先生は自然に灰皿を俺の手元へとズラしてくれる。 
  
 「仕事、大変なのか?」 
  
 「まぁまぁ、ですよ。普通に忙しいですし、普通に生きてます」 
  
 百円ライターがカチッと音を立て、小さな炎が立ち上がった。 
  
 フィルターに口を付け、煙を吸う。頭の中がぼんやりとする。 
  
 「じゃあ、きっかけは雪ノ下のことか」 
  
 思わず動きが止まってしまう。どうして、この人はこんなことまでお見通しなのだろうか。 
  
 「……どこまで知ってるんすか」 
  
 「君が卒業した後に雪ノ下と付き合い始めたことは聞いてたよ。そして、別れたことも」 
  
 「そう……すか」 
  
 そのことの一連の経緯を知っている人間は、限りはあるものの心当たりはある。 
  
 おおよそ、小町辺りが口にしたに違いない。 
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