少年「ミッドナイト・シーラカンス」
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1: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:25:31.73 ID:L32KXTsp0
♪〜

少年(ずっとピアノを弾いていた)

少年(ピアノを弾く事が、僕の全てだった)

少年(鍵盤を通して奏でる音は、美しいと思えた)

少年(楽しかったし、人よりも才能があった。努力を欠かした事は無い)

少年(ピアノは僕の人生だった)

少年(でも)

少年「……駄目だ、どうして」

少年(ある日突然、僕はピアノを弾けなくなってしまった)

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2: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:28:49.03 ID:L32KXTsp0
少年(どうしても、途中で指が動かなくなってしまう)

少年(この前のコンクールで、優勝してしまってからだ)

少年(スランプ、って言うんだっけ)
以下略 AAS



3: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:31:30.03 ID:L32KXTsp0
「少年、コンクールで優勝したって?」

少年「あ、うん」

「すごいじゃん! 良かったね」
以下略 AAS



4: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:33:42.13 ID:L32KXTsp0
少年(最近、よく眠れない)

少年(このままではいけないと言う不安で頭が一杯になる)

少年(考えてはいけないのに、より一層強く考えてしまう)
以下略 AAS



5: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:37:19.57 ID:L32KXTsp0
少年(……眠れない)

少年(不安だけじゃない、心のどこかがさわさわとしている)

少年(原因は分かっている)
以下略 AAS



6: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:40:53.99 ID:L32KXTsp0
少年(いつものスニーカー、いつものシャツ。ズボンに飴玉をいくつか入れる)

少年(着替えはあっという間に済んだ。それ以外は何も要らない)

少年(どきどきする。こんな時間に外に出るなんて初めてだ)
以下略 AAS



7: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:42:05.40 ID:L32KXTsp0
少年「ああ……」

少年(外に出た瞬間、夜風がふわりと僕を包み込んだ)

少年(重苦しい部屋の中とは、全然違う)
以下略 AAS



8: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:46:55.25 ID:L32KXTsp0
リリリリリ……リリリリリ……

少年(僕は歩く。こんなにも足が軽いのは初めてだ)

少年(コオロギの澄んだ鳴き声が夜に染み渡る)
以下略 AAS



9: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:50:16.00 ID:L32KXTsp0
少年(ポケットに入れておいた飴玉を一つ、口に含む)

少年(舌の上に甘さが広がる。こんなにも飴玉に意識を向けた事は初めてだ)

少年(甘い幸福感が心地良い。飴玉ってこんなに美味しかったっけ?)
以下略 AAS



10: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:54:52.40 ID:L32KXTsp0
少年(僕はどこかの公園のブランコに座る)

少年(こんな時間に遊んでいる人なんて居ないだろうな)

ギー、ギー
以下略 AAS



11: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 20:56:57.71 ID:L32KXTsp0
少年(僕の近くで、落ち着いた声が放たれる)

少年(僕は焦って辺りを見回す、けれど)

少年「え……居ない……?」
以下略 AAS



12: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/13(日) 21:03:14.48 ID:L32KXTsp0
少年(シーラカンス。生きた化石。恐竜の居た時代から生きている)

少年(絶滅したと考えられていた魚……だっけ。魚の図鑑で読んだ)

少年「う、浮いてる……」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage]
2020/09/14(月) 09:40:36.33 ID:kKnHwTbyO
きたい


14: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 19:37:31.02 ID:H4zZvC5e0
少年「綺麗な満月だね」

シーラカンス「そうだな。月の兎もくっきりと見える」

少年「兎はお餅をつくのを嫌になったりしないのかな」
以下略 AAS



15: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 19:44:28.75 ID:H4zZvC5e0
少年(僕らは歩き続ける)

少年(シーラカンスが泳いだ跡は、光る粒子が軌跡となって闇の中を流れていく)

少年(まるで天の川を泳いでいるように見える)
以下略 AAS



16: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 19:47:27.84 ID:H4zZvC5e0
シーラカンス「あともう少しだ」

少年「楽しみだな。何があるんだろう」

シーラカンス「少年。夜は楽しいか?」
以下略 AAS



17: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 20:41:42.07 ID:H4zZvC5e0


フワ……フワ……


以下略 AAS



18: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 20:51:25.76 ID:H4zZvC5e0
少年(深く深く、深夜のひんやりした空気を肺一杯に取り入れる)

少年(呼吸をする事は大切だ。自分の身体を十二分に使う為に)

少年(そうして、僕は時間をかけて息を吐いていく。身体の無駄な雑念全てを出し切るように)
以下略 AAS



19: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 20:56:05.74 ID:H4zZvC5e0
シーラカンス「……お見事だ。まさか夜を弾くとは!」

少年「上手く言えないけれど……僕も、成長出来た気がする」

シーラカンス「全く持ってその通りだ」
以下略 AAS



20: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 20:59:05.47 ID:H4zZvC5e0
少年(目が覚めると、僕はベッドの中に居た)

少年(あれは全て夢だったのだろうか)

少年(あの場所は一体どこだったんだろう)
以下略 AAS



21: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2020/09/14(月) 21:05:23.71 ID:H4zZvC5e0
「少年! この前の演奏凄かったよ!」

少年「ああ、見に来てくれてたんだ。ありがとう」

「大人達が前よりも上手くなったって褒めてたよ」
以下略 AAS



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