19:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:27:23.17 ID:NQo7nb9f0
勇者は驚いたように俺を見ていた。
勇者「そうか・・・。ごめん、悪かったよ。」
困ったように笑う勇者の顔を改めて眺めた。甘ったれた顔をしている。
この世界で、敵の命すら迷わず奪えない。それどころか、いちいち相手の人生すら気にかけている。そんな奴が魔王を倒すために旅をしてるとは、まるで信じられなかった。
戦士「よし、やっぱりお前の旅に俺も付いて行ってやるよ。こういう人間もいるんだって教えてやる。魔王相手に戦うのも面白そうだしな。」
こんなやつに魔王が倒せる訳がない。それどころか、明日にだって死んでもおかしくないはずだ。世間知らずのまま、きれいなまま死んでいかれるのも面白くない。ただ、それだけだ。
勇者は最初訝しむように俺を見て、それから少し悩んでから言った。
勇者「ありがとう、助かるよ。」
気に入らない、と思っていたが今にして思えばこの時にはもう、俺はこいつに惹かれていたのかもしれない。今ではそう思っている。
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