1:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:02:10.65 ID:NQo7nb9f0
初勇者ssです。
良かったら見てってください。
SSWiki : ss.vip2ch.com
2:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:04:23.07 ID:NQo7nb9f0
旅人「みなさん、よく聞いてください。おそらく今夜、この村は盗賊に襲われます。今夜は家のしっかり戸締りをして外に出ないようにお願いします。」
酒場でそうアナウンスしていた旅人が酔っ払った傭兵数人に絡まれている。
どうやら盗賊たちはこの旅人と、彼が護衛していた商人たちを追ってきたらしい。
3:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:06:26.39 ID:NQo7nb9f0
戦士「それくらいにしとけよ。いいじゃねえか、降りかかった火の粉を払うくらい。もうひと暴れしていこうぜ。」
その傭兵たちは今日同じ戦場から帰ってきた顔なじみだったため、面倒だが仲裁に入った。
傭兵たち「お前か・・・邪魔すんなよ、もう少しで商談が成立しそうなんだからよ。」
4:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:07:51.79 ID:NQo7nb9f0
旅人「あなたも協力していただけますか。」
金を用意して旅人が俺にも声をかけてきた。
戦士「村人の護衛なんてやりたくねえよ。つまらねえ。その盗賊の始末ならやってやるよ。」
5:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:09:47.29 ID:NQo7nb9f0
今夜、背中を預けることになるかもしれない相手だ。どういう人間か知っておこうと思ったのだろう。まあ少しくらいなら付き合ってやってもいいか。
戦士「真面目そうな顔してるくせに、真昼間から酒を飲むんだな。」
と茶化すように言った。
6:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:10:58.98 ID:NQo7nb9f0
戦士「お前はどう見ても傭兵じゃないよな?何で商人の護衛なんかしてるんだ?」
旅人「僕は魔王を倒すために旅をしてるんだ。これはそのための資金調達だよ。」
戦士「お前勇者だったのかよ!」
7:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:12:24.25 ID:NQo7nb9f0
戦士「そうだな。戦うのが好きなんだよ。戦いっていうか、殺し合いだな。」
勇者「・・・[ピーーー]のが好きなのか?」
困ったような、悲しむような顔をしている。ますます子供みたいだな、と思った。
8:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:14:01.08 ID:NQo7nb9f0
戦士「ああ。けど最近はつまんねえな。死なないための戦い方が発達しすぎている。
俺は塹壕を掘ったり、投石器に石を詰め込んだりするために傭兵やってんじゃねえんだ。
だから最近は、俺も冒険者になってみようか、なんて考えてるんだよ。」
勇者「戦いで死ぬ人が減るのは、いいことだと思うけど。」
9:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:15:28.08 ID:NQo7nb9f0
なるほど、それで今回のように盗賊討伐の依頼を受けて日銭を稼いでいるわけか。
勇者という肩書があるだけで普通の冒険者と変わらないな、と思ったがすぐにその肩書こそが大切なのではないかと思い直す。
勇者であれば様々な依頼がうけられるだろうし、多少無茶をしても咎められないかもしれない。持ち合わせがない時でも、村人が寝床と食事を無償で提供してくれるかもしれない。冒険者になるなら勇者のパーティーに入るのが一番だろうか。
10:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:16:48.28 ID:NQo7nb9f0
この村は川と崖に囲まれていて、村に続く道は一本しかない。
盗賊もそこからやってくるだろうと考え、俺と勇者は一つしかない門の傍で待ち構えることにした。
準備を終え盗賊が来るのを待っていると、ふとある考えが浮かんだ。
11:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:18:20.21 ID:NQo7nb9f0
そこからしばらく二人とも無言だった。
遠くに松明の明りが見え始める。
勇者「来たみたいだね。」
12:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:18:53.77 ID:NQo7nb9f0
盗賊「なめやがって!」
盗賊の一人が切りかかってくるのを剣で防ぎ、胴体に蹴りを入れてふっ飛ばす。
集中する。体が熱くなってくるのを感じた。これだ。
13:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:20:20.47 ID:NQo7nb9f0
最後の一人を倒し、まだ息のあるやつが残っていないか確認する。どうやら終わってしまったらしい。
勇者は無事だろうか、と村の外に目をやると勇者が一人の盗賊の死体を持って村に戻ってくるのが見えた。
戦士「ああ、やっぱり一人は離れた所にいたんだな。」
14:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:22:04.41 ID:NQo7nb9f0
戦士「それは別に間違ってねえだろ。全員始末できて良かったじゃねえか。」
勇者「・・・ねえ、イチジクコバチって知ってる?」
戦士「は?何の話だよ。知らねーよ、そんなの。」
15:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:22:50.56 ID:NQo7nb9f0
うわ
ピーーー入った
なるほどNGワードだったのか
16:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:23:58.80 ID:NQo7nb9f0
勇者「でも、この場合はそうじゃない。欲張りなイチジクコバチに卵を産み付けられたイチジクは、早い段階でその実への栄養の供給を止めるんだ。そうするとその実の成長はとまり、中のイチジクコバチは全滅する。」
戦士「なるほど、うまくできてるんだな。」
多少、本気で感心しながら言った。
17:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:25:05.77 ID:NQo7nb9f0
勇者「きっと、イチジクとイチジクコバチのような共生関係を結べるのは稀なことだよ。多くの場合はこの仮定のように、生き残るための行動がエスカレートしていく。淘汰に有利に働く性質は、際限なく強くなっていくからね。相手を食い尽くして、自分も滅びる。もしくは他の獲物を見つけて、同じことを繰り返すんだ。これは、一体だれの責任なんだろうね。」
戦士「・・・何?」
勇者「イチジクコバチだって、ただ生き延びるために必死だっただけなのに。」
18:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:26:13.32 ID:NQo7nb9f0
戦士「だから、こいつらがこうなったのも仕方ないって言うのかよ。」
足元の盗賊団の死体を蹴り上げながら、怒鳴った。
勇者「仕方ない、か。そうだね、仕方ないかもしれない。そしてここで、僕たちに殺されたのも仕方ないことなのかもしれない。でもどうしても・・・可哀想だと、思ってしまうんだ。」
19:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:27:23.17 ID:NQo7nb9f0
勇者は驚いたように俺を見ていた。
勇者「そうか・・・。ごめん、悪かったよ。」
困ったように笑う勇者の顔を改めて眺めた。甘ったれた顔をしている。
20:名無しNIPPER
2020/09/18(金) 18:29:07.49 ID:NQo7nb9f0
終わりです。
一から展開考えるのって難しいな。
一応2話まで出来てるけど、戦士と勇者の名前が決まらない・・・
21Res/18.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20