16:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:42:16.88 ID:66ORp3Ez0
 彼女は話し終えてからもしばらく泣き続けた。ようやく泣き止んだ彼女を別室で休ませ、戦士と今後についての話を始める。 
  
 戦士「さあ、どうする?」 
  
 勇者「手口が汚い。それに監禁されている場所もあんな胡散臭い場所だろ?おそらくだけど、魔法使いはおおっぴらに犯罪者として連れていかれたわけじゃないと思うんだ」 
17:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:43:26.04 ID:66ORp3Ez0
 塔には見張りはいなかったが、出入り口は閂か何かで内側から完全に閉じられていたため、外壁をよじ登り、窓の鉄格子を外して中に入った。 
  
 勇者「ここかな・・・」 
  
 戦士「ああ、可能性は高そうだ。」 
18:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:44:50.18 ID:66ORp3Ez0
 戦士「酷いな、これは。」 
  
 戦士が顔をしかめながらそうつぶやく。僕もその痛ましい様子に、目をそむけたくなった。 
  
 勇者「大丈夫?」 
19:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:45:48.01 ID:66ORp3Ez0
 勇者「ごめんね、少しここで待ってて。」 
 	 
 異臭と汚れの残ったベッドの上に戻すよりはマシだろうと思い、泣きつかれて眠っている彼女を壁の近くまで運んで床に寝かせる。 
  
 加勢に向かうために部屋を出ようとすると、ちょうど戦士が戻ってきた。手を縛られて口をふさがれた兵士を一人連れている。 
20:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:46:56.28 ID:66ORp3Ez0
 「ああ、助かったよ、ありがとう。でも[ピーーー]のは駄目だ。先にしなきゃいけないこともあるし。」 
  
 戦士の連れてきた兵士にちらりと目をやる。 
  
 「そうだな。」 
21:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:48:06.60 ID:66ORp3Ez0
 勇者「もう一度聞きます。彼女の目と耳をもとに戻すには、どうすればいいですか。」 
  
 兵士「知らねえよ!あれはあいつの調教を始めてしばらくしてから、城の呪術師が呪いをかけていったんだ。解呪する方法はやつしか知らない。」 
  
 戦士の方をちらりと見る。 
22:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:49:19.49 ID:66ORp3Ez0
 勇者「僕はどうやって彼女の力を封じているか聞いただけです。 
 どうして、どうすれば彼女の力を戻せるか教えてくれたんですか。」 
 	 
 兵士「理由なんてねえよ!それを知りたかったんだろうが!他意はねえよ、本当だ!」 
  
23:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:51:30.16 ID:66ORp3Ez0
 勇者「どうして、彼女をあんな目に合わせてるんですか?」 
  
 質問を続けると、兵士は落胆したようにため息をついて言った。 
  
 兵士「お前たちはこいつの何なんだ。知り合いか?」 
24:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:52:12.09 ID:66ORp3Ez0
 勇者「嘘をつかないでください。彼女の体を見れば、あなたたちが彼女のことを散々おもちゃにしてきたことくらい分かります。」 
  
 兵士「ああ、そうだよ。あの女にはたっぷり楽しませてもらったよ。 
 俺たちは魔法や呪いで従わせて利用するために、痛めつけて抵抗力を奪うように上から命令された。 
 その方法については指定されていないし、ある程度自由に扱っていいと言われたからそうしたまでだ。 
25:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:53:23.61 ID:66ORp3Ez0
 兵士「お前らの方こそこんな事をしてただで済むと思ってるのか?」 
  
 ニヤリと笑みを浮かべて言う。 
  
 兵士「俺たちはこの国の正規兵だ。お前らは犯罪者なんだよ。あの女だってこの塔から連れ出したところで・・・っ!」 
26:名無しNIPPER
2020/09/19(土) 22:54:26.12 ID:66ORp3Ez0
 勇者「・・・どんな気分でしたか?」 
  
 戦士「なあ、おい。聞いてんのかよ。」 
  
 勇者「もう少し。もう少し待ってくれ。僕は知らないといけないと思うんだ。一体何が起きていたのか。どうしてそんなことが起きてしまったのか。」 
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