タツマキ「す、好きじゃないわよ……」サイタマ「じゃあ、やめるか?」
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8:名無しNIPPER[sage saga]
2020/10/03(土) 22:48:20.62 ID:OrrkKALEO
ピピピッ! ピピピッ!

「ん? なによ、こんな夜中に怪人なんて」

ヒーロー協会から支給された携帯端末からアラームが鳴り響き、身を起こした、その時。

ガッシャンッ! と。
寝室の窓を突き破って、何者かが飛び込む。
すわ怪人かと警戒するタツマキは気付いた。

「ア、アンタ……」
「ん? ああ、フブキの姉ちゃんか。あれ? もしかしてここってお前の家だったのか?」

白々しいとタツマキは思った。ぬけぬけと。
誰のせいでこんな時間まで眠れなかったと思っているのかと、怒鳴り散らしたかった。
しかし、彼は来た。まさに、たった今。
来て欲しいと思っていた彼は、来たのだ。

「せ、せめて玄関から入りなさいよ……」
「悪い。話はあとだ」
「は、はあっ!? あ! 待ちなさいよ!!」

照れているのか、珍しく極めて常識的な文句を口にするタツマキに目もくれず、件のハゲ男、サイタマは飛び込んできた窓枠へと足をかけて、ふと自分のマントを掴む少女を振り返った。

「なんだよ。あとでちゃんと謝るから、さっさと離してくれ。怪人が逃げちまうだろ」
「そう言って、アンタこそ逃げる気でしょ」
「はあ? いいから、マントから手を離せ」
「嫌」

タツマキが駄々を捏ねると、サイタマはさも面倒臭いガキに出会ったかのようにため息を吐いて、おもむろに彼女を抱き寄せた。

「え?」
「しっかり掴まってろ」

そのまま窓枠から飛び降りる。
高層マンションから落下する最中。
無意識のうちに背中に手を回してサイタマにしがみついたタツマキはその日初めて、一方的にではなく、自分から男を抱きしめた。


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