17:伊丹 [sage]
2020/11/21(土) 01:01:42.37 ID:F8D/mY4l0
口に咥えたタバコに火を付けて、深く吸ったあと、口からゆっくりと吐き出す。
今回も、私に煙が掛からないように、上を向いて。
「ねぇ、おいしい?」
バタ子に聞いたときのように、尋ねる。
彼も、人差し指と中指にタバコを挟んだまま応える。
「まずいよ。
俺にとっては仕事道具だし。
吸ってると、やっぱり仕事のこと考えちゃうよ。息抜きになりゃしない」
そう言いながらまた白い棒を口に運ぶ。
タバコを吸ってる間は、目をトロンと細めて、どこか遠くを見ているよう。
携帯灰皿に灰を落とすとき、ジッと見てる私に気づいて、声をかける。
「悪い。くさいよな。すぐ終わらせるよ」
「う、ううん。別に!」
いつもと違う彼の表情に、ドキッとする。
煙臭さの中に、特有の甘い香りが私の鼻腔をくすぐる。
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