3:名無しNIPPER[sage saga]
2020/12/01(火) 22:55:35.07 ID:6NLLeJ5C0
「どうしたというのです、それが」
「演ってもらうことにした。ウチの劇場で、千夜が主役」
そんなところだろう、と大して驚くでもなく、首肯で受け合った。正確には主役とまで言われるのは思い寄らなかったが、それも表情に出るような動揺を生んだり、少なくともその場では、強い重圧を感じさせたりする程の事でもなかった。不安に心を配るより午前十一時の陽光に思うのはむしろ、昼食の弁当を何処で広げるかという事だった――あったかいから、中庭でもいいかな。
「お、いいね」彼は腑抜けた微笑を見せた。「合点承知って感じだ。アイドルらしくなったんじゃないか」
「何を。言われた事はやるというだけのことです」
「じゃ次はスカイダイビングでも――おいおい、よせよそんな顔」
「お前こそ、もう少しプロデューサーらしくなってみては」
彼はデスクに手を付いて、
「だよな、じゃプロデューサーらしい事言うけど、千夜に演ってもらうのは――」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「『アリババと四十人の盗賊』…… アラブ世界で語られた説話の集成、『千夜一夜物語』の一部として、知られている物語ですね」
234Res/183.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20