玉座の間にて
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22: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/11(木) 09:26:51.81 ID:oNIrsuw50


息が切れる。これほど長い時間走り続けたのはいつ以来だろうか。
魔王城下の大合戦。王の呼びかけに参集した我ら一門は、その先駆けとばかりに魔物どもの大群へと突き進んだ。

視界の全てが醜き魔物どもで埋まり、血と肉の生ぬるさを頬で感じ。
斬っては捨て、斬っては捨てを繰り返し、ひたすら前へと進み続けた。

魔物の悲鳴にまざり、若い男の鈍い声が轟く。声の主は、俺の二つ上の従兄弟だ。
共に鍛錬を積んできた、俺より剣技に勝る強者の叫びに俺は奥歯をかみしめる。

また、どこかで嬌声があがる。また一人、何処かで血のつながった家族が死んだ。
だが、悲しむいとまなどない。押し寄せる魔物の猛攻に、我らはひたすら剣を振り続けるしかなかった。


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