玉座の間にて
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32: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 09:54:15.68 ID:ewOe4rJE0

厚く、鈍い声が広間に響くと同時に、闇の瘴気が我ら勇者一門にのしかかる。
俺は、その重さに思わず膝をついてしまう。俺だけではない、一門の皆が、大叔父上ですら立っているだけで精いっぱいといった面持ちだ。

玉座の間に入って以来、感じていた冷たいプレッシャーの比ではない。
恐怖とは冷たいもの? 否、真なる恐怖とは昏く重いものなのだ。
その視線が向けられたいま、俺たちは初めて魔王と戦うことへの恐怖に晒されている。

そうか、これが魔王と戦うということなのか。
これを前にして、剣を抜くなど一体どれほどの勇気があれば可能なのか。
伝説の御先祖は、なんと偉大な勇者であったのか。俺は、初めて理解した。


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