玉座の間にて
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33: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 09:54:42.72 ID:ewOe4rJE0

指先一つ動かせない。
柄を握る気力すら湧かない。
ああ、我らはここに臆病者として果てるのだ。

絶望の幕により、物語が終わろうとしたその時。
突如、光が差し込んだ。

鏡面のごとく磨かれ、青空の下にあっては「次太陽」、月夜にあっては「小天文」と称される我ら勇者一門に受け継がれてきた聖剣。

たとえ、吸った魔物の血で曇っていようが、杖代わりに使われたことで切っ先が欠けていようが関係ない。世に比類するもの無き美しき刀身が、広間に僅かに差し込んでいる光を映しだしたのだ。

いま我が背におわす祖母の手で掲げられることによって。


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