玉座の間にて
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43: ◆CItYBDS.l2[saga]
2021/02/13(土) 18:48:58.41 ID:ewOe4rJE0

祖母がその小さき体で魔王の蹴りを受け、壁まで飛ばされる。
その衝撃に、肺腑の空気がすべて抜けたのであろう。祖母の叫声が止まり、ほんの一瞬だけ場が沈黙に包まれた。

ちりん。

後に、鈴の音と語られた鞘を走る刀身が調。
続くは、魔王の右腕が地面に打ち付けられる音であった。

胴を上下に切り分けたつもりであった。
生涯にわたり、最高に剣が奔った。だが、それでも魔王は躱して見せたのだ。
額から冷や汗が流れる。ああ、遂に俺にも死が訪れるのだ。

不意に、人の気配を感じた。
大勢の人間の声に、鎧と剣がすれる音。沸き立つ歓声。
ああ、いったいどれほどの時間、我らは戦い続けていたのだろうか。大平原にて戦っていた、国の兵隊たちが遂に魔物の軍団を突破し魔王城に雪崩れ込んだのだ。


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