小林「あなたは……誰ですか?」トール「……えっ?」【小林さんちのメイドラゴンSS】
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◆bhlju8wMK6
[saga]
2025/09/01(月) 23:02:21.17 ID:oEqW1vd60
トール’『ああ、それについては恐らく、我の想いも関係しているのだろう……』
トール’『我は先程“もう誰にも会いたくない”と願ったと言ったが……。
それ自体は嘘ではないが、それと同時に“誰かに見つけて欲しい”という相反する想いも抱いていたと、今なら認められる』
トール’『頭では否定していても、そうした強い願いはこの1年ずっと、無意識下で燻っていた。
それが今回、もう一人の我……、メイドトールの想いと呼応して並行世界移動現象に繋がったのではないだろうか』
小林「なるほど、こちらとあちら、両方の世界から引き合った結果だと……」
ルコア「元々強い力を持つ2体のドラゴン……、それも並行世界における同一存在と言えるトール君達2人が互いに引き寄せ合う様な願いを抱いた……。
そうだね、その条件なら世界の壁を越える程の魔法を発現させる事も、決して不可能ではないと思う」
エルマ「じゃあこれで、並行世界移動の原因ははっきりしたな! それなら帰る方法も……」
滝谷「――ん、すみません。でもそれだとちょっとおかしくないかな?」
ルコア「滝谷さん? どういう事だい?」ピクッ
滝谷「いえ、僕も大体今の話の通りとは思うんですが……。
でも今の話だと、霊トール……さんは、“誰かに見つけて欲しい”から魔法が発現したって事ですよね? そしてそれはもう既に叶っている――」
ルコア「! そうか。魔法が発現した要因が解決しているのに、特に状況に変化がないのはおかしいんじゃないか、という事だね?」
滝谷「はい、まあ魔法について詳しくはないので、別にそれで問題はないと言われればそれまでなんですが……」
ルコア「いや、重要な疑問だとも。特に今回は無意識に発動した魔法だ。
要因が取り除かれたなら、その解消も意思に関係なく自動的に起こると考えるのが自然だ」フム……
トール「それなのに何も起こらないという事は……、本当はまだ要因が解決はしていないという事ですか?」チラッ
トール’『むっ!? い、いや、そう言われても、我も心当たりは……』ワタッ
小林「落ち着いて、霊トールちゃん。そうだな……、細かいニュアンスの問題かもしれない。
霊トールちゃん、試しに願いを、別の言葉で言い換えてみてくれないかな?」
トール’『別の……、そうだな、“一人でいたくない”、とか……』
小林「うんうん、他には?」
トール’『そ、その……、“孤独はいやだ”、とか……』モジッ
小林「なるほど、じゃあ他には?」
トール’『う、うぅ……、その……(は、恥ずかしいぞこれ……!?)』モジモジ
小林「大事な事なんだ、頑張って、霊トールちゃん!」ズイッ
トール’『う、うぅ〜、そ、その、“故郷に帰りたい”とか……?』グヌゥ
小林「っ! それじゃないかなっ?」
トール’『え?』
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