結標「私は結標淡希。記憶喪失です」
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789: ◆ZS3MUpa49nlt[saga]
2022/01/16(日) 00:08:02.63 ID:PU+Tw3fzo


 しばらくしてから、黒煙が晴れた。
 路地裏の通路は壁と地面の三方が焼け焦げていた。建物で囲まれているような閉鎖された空間のため焼けた臭いが充満している。
 そんな中、一人の少女が現れた。


番外個体「――ったく、信じらんない! こんな密閉空間でグレネードぶっ放すなんて頭イカれてんじゃないの!? 自爆したいなら勝手にしてろっての!」


 プンスカと番外個体が怒っていた。
 彼女は先ほどの銃撃を回避したときのように、空気を高圧電流で爆破して水平方向へ飛翔し、爆発から離れていた。
 しかし、多少は巻き込まれたようで、体の至るところに焦げ跡のようなものが残っている。


番外個体「とりあえず、あの二人の死体は回収しとかなきゃだよね……ありゃ?」


 曲がり角を曲がった先を見る。そこは砂皿緻密が横たわっていた場所で、ステファニー=ゴージャスパレスが機関銃を持って立っていた場所でもあったはずだ。
 だが、そこには二人の影の形すらなかった。バラバラになって体の部位の一部が落ちているとか、そういうものも見られない。
 跡形もなく木っ端微塵に吹き飛んだのか、と考えたがグレネードランチャーの爆発にはそこまでの威力はない。それは見た限り明らかだった。
 つまり、


番外個体「逃げるための目眩ましも兼ねてのグレネードだった、ってことか」


 まんまとしてやられて逃げられた。その事実を認識して番外個体は二人の居たはずの空間をぼーっと眺めた。


番外個体「……はぁー、まあいっか。あっちのほうはもう任務完了しているわけだし、こんなくだらない残業をやる必要性なんてミサカにはないからねー」


 誰かに話しかけているような声量で独り言を言った。
 元々、彼女はそこまで任務に精を出しているような少女ではない。今回もそこまで力を入れて任務を行っているわけじゃなかった。
 面倒臭そうに辺りを見回した後、体を路地裏の出口の方向へと向ける。

 『まだまだ戦闘経験が足りてなさそうです』。

 ふと、ステファニーの言った言葉を思い出した。


番外個体「…………チッ」


 少女は舌打ちして、脱臼した左肩を抑えながらこの場を後にした。


―――
――






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