14: ◆SbXzuGhlwpak[sage]
2021/09/27(月) 19:14:08.03 ID:FpkFq5Eu0
  いったい誰に何を言われたのか。 
  うつむき加減で不敵に笑い始める。 
  というか二人の知り合いが教会にいたとか今初めて知った。 
  
 「今のところ埋葬機関としての仕事はありませんし、期せずしてあなたと奇妙な友好関係を築けたわたしが監視役として最適なのだから黙ってろとは言ってるんですがね。 
  別にあなたの肩をもつわけではありませんが、わたし以外の教会の人間が監視していたらあなたも嫌でしょう?」 
  
 「ん〜、マーリオゥなら我慢してあげなくもないけど、メレムは付きまとってきてうっとおしいし、それ以外は問答無用で潰すかな?」 
  
  ……なんだろう。 
  今初めて存在を知ったしどういう奴なのか知らないけど、今俺はそのメレムさんをすごく不憫《ふびん》に感じている。 
  何だか二人からの扱いが何というか――――――雑でした。  
  
 「つまりシエルってばお仲間に嫌味を言われながら、それなりに忙しい中で時間を割きながら学校に通っているわけよね?」 
  
 「そうですね。そしてそれをあなたは不思議に思っている」 
  
  ほほ笑ましそうに答える先輩の様子は、学校での俺や有彦と一緒に話している時のもので、年上のお姉さんとしてアルクェイドと向き合っていた。 
  
 「人間は仕事とそれに関する事、それ以外は休息だけという生き方をしていれば体ではなく心が壊れてしまう。だから趣味や娯楽が必要になる。 
  それは知っているんだけど、なら今みたいにカレーを食べたり、さっき貴方が言ってたみたいに違うお店を探して別のカレーと出会ったりすればいい。それ以外にも、ほら……あなた銃火器が好きだったじゃない。武器の手入れをしたり、カタログを読んで楽しんだり。そういった仕事以外の過ごし方があるでしょ? 
  それなのに一日の大半を学校で過ごしちゃって、学校はそんなに楽しいの? あなたにとってカレーや銃火器と並んだり、ともすればそれ以上に優先しかねないものなの?」 
  
  アルクェイドの言いたいことはわかる。 
  俺自身ロアの件が片付いた以上、先輩は学校から去ってしまうものとばかり思っていたから、こうして通い続けてくれるのは予想外の喜びだった。 
  
  しかし今の先輩は言ってみれば社会人が仕事終わりに夜間大学に通っているようなもの。いや、夜間大学より高校の方が拘束時間も長く融通も利かないからもっと厳しいか。 
  そのうえ“昨夜の仕事”のように突発的な事も起こりえる。今日は日曜で学校は休みだったが、仮に平日なら先輩は徹夜明けの状態で学校に顔を出していただろう。 
  
  アルクェイドでなくとも疑問に思う事で、俺だって考えた事はある。 
  けどそれを訊いてしまえば先輩が学校に来なくなってしまうような気がして、怖くて一度も口に出せなかった疑問だ。 
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