STEINS;GATE 起点消失のエンドライン
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2021/10/21(木) 22:02:23.72 ID:GjcLOZsx0
それは懐かしい声だった。少なくとも今の俺にとっては随分と久しぶりに聞く声で、あと数年は聞くはずのない声だった。

「久しぶりね、岡部遼太郎、いえ、オカリンおじさんと呼んだほうがいいかな。」

彼女がいるということは、ダイバージェンスが僅かにズレた、あるいは、俺はたどり着いたはずの運命石の扉から外れてしまったのかもしれない。
いずれにしろ、彼女がいるということは、この世界線の先にタイムマシンが開発される未来がある。
それだけは確実だった。

「久しぶり、といってもお前はこの時代の俺にはお前はあったことがないはずだがな。バイト戦士。」

「うーん、そうだね。何か勘違いしているみたいだから一応訂正しておく。確かに、私は未来から来た阿万音鈴羽よ
だけど、私はタイムマシンに乗ってここまで来たわけじゃないよ。この世界線で、タイムマシンは作られないの。」

鈴羽は俺の表情を見て考えていることを察したのか、俺の懸念を否定してのけた。さすがは、ダルの娘というべきか。
洞察力と言うか、瞬時に物事を予測、判断するという能力は間違いなく父親譲りのものだろう。

「ならどうやってお前はここまで来たんだ。タイムマシンがないなら、タイムリープ装置かdメールがなければ過去には干渉できないはずだ。」

いや、と俺は少し目を閉じて髪の毛を搔きむしると鈴羽の目をまっすぐと捉えた。

「時間に干渉できる装置があったとしても、人体をゼリーマンにせずに過去に送るにはタイムマシンの存在失くしてはあり得ない。」

一体どうやったんだ?言外にそう投げかけながら、俺は鈴羽の言葉を待った。

「まぁまぁ、そんな顔しないでよ。私としても今ここにいるのは不本意、というか全くの偶然、想定外もいいところなんだよ。」

「想定外?」

「うん。私は確かに未来から来たよ。それだけは間違いない。ただ、私はタイムマシンを使用して、いや、タイムマシンが
存在していないにも関らず過去へと来てしまった。まるで、オカリンおじさん、貴方が1年前に世界から突然に消えてしまったように。」

その言葉に俺はこの耳を疑った。世界線が移動されれば現在は再構成され、その未来は破棄、なかったことになるはずなのだ。
だから鈴羽の言っていることは、いや鈴羽がそれをいうことは決定的におかしいのだ。

「どうして、どうしてお前がそのことを知っている..?世界線を移動すれば強力なリーディングシュタイナーを持っている人間、
つまりは俺以外の人間の記憶は消えるはずだ。まして、お前は未来の人間だ。俺が出会ってきたそれぞれの鈴羽がそうだったように、
お前が覚えているはずはないんだ。」

「まさかってやつなんだろうね。私には様々な世界線の私のタイムトラベルの全ての記憶を持っている。
橋田鈴として、記憶を失い任務を失敗し、最後には自殺した記憶も。あの夜、父とは会えずに1975年に飛び立った先の記憶も、
牧瀬紅莉栖が死んだ過去を変えるために、第三次世界大戦が起きた未来からやってきて、シュタインズ・ゲート世界線を
目指した記憶も。私はすべて覚えている。端的に言えば、今の私にはリーディングシュタイナーと酷似した能力があるんだよ。」



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