12:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:39:44.60 ID:Rr9Z2Vx8O
 「けど、やっぱり船っていうと、こっちの形の方がしっくりくるな」 
  
  プロデューサーはめぐるの前に置かれたミルクレープを指す。 
  
  円から鋭角で切り取った形。どちらかというとそちらの方が一般的な船のイメージに近い。 
13:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:41:01.85 ID:Rr9Z2Vx8O
 「まあ、ケーキの構造や色合いは似てないけどな」 
  
  肩をすくめて冗談めかす。 
  
  ミルクレープは黄色いクレープ生地を幾重にも重ねて作られたもので、当然ながら船の構造とは異なる。 
14:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:42:23.17 ID:Rr9Z2Vx8O
 「……そうだな。半分ずつでシェアするか。ナイフ持ってくるよ」 
  
  蜂蜜のように濃厚で甘美な香りにくらくらと酔いしれるも、何とか『食べさせ合い』はしないと予防線を張る。 
  
  一段低い気温に身を晒そうと、キッチンへと避難しようと立ち上がる。 
15:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:43:31.00 ID:Rr9Z2Vx8O
 「取ってきたぞ」 
  
 「ありがとう、プロデューサー!」 
  
  プロデューサーは違和感がない程度に、先ほど座っていた位置より端側に腰を降ろす。 
16:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:44:35.82 ID:Rr9Z2Vx8O
 「……どうしたの?」 
  
  硬直したのが不審に思われたらしく、めぐるが問いかけてくる。 
  
 「……いや、何でもないよ」 
17:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:45:24.60 ID:Rr9Z2Vx8O
 「──っ!」 
  
  めぐるがパッと顔を上げる。驚いた表情。 
  
 「……この方舟は乗った人を救うんじゃない。食べた人を救うんだ。『美味しい』って幸せな気分にしてな」 
18:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:47:48.07 ID:Rr9Z2Vx8O
 「……食べさせて欲しいな…………?」 
  
  めぐるは暫しの沈黙の後、表を上げて口を開いた。 
  
  囁くような声量の、甘えた声が耳元で木霊する。 
19:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:48:48.17 ID:Rr9Z2Vx8O
 「…………」 
  
 「…………えへへ。……ありがとう!」 
  
  表しようもない気恥ずかしさに沈黙していると、めぐるも同じ気持ちだったのか、頬を染めて照れ臭そうに微笑んだ。 
20:wenppy ◇28goFgfuuI[sage saga]
2021/11/23(火) 20:49:58.70 ID:Rr9Z2Vx8O
 以上になります。 
 ありがとうございました。 
21:名無しNIPPER[sage]
2021/11/24(水) 00:01:36.27 ID:IIbElR9lo
 おつ 
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